IHIはガスタービンのCO2排出量削減を目的に、2000kW級ガスタービンに天然ガスとアンモニアを混焼させる実証試験に成功。アンモニア混焼技術の実用化のめどをつけた。
IHIはアンモニアと天然ガスの混焼試験を横浜事業所(神奈川県横浜市)で2018年3月に実施し、2000kW級ガスタービンでは世界初という熱量比率20%の混燃に成功したと発表した。これにより、ガスタービンの燃料としてアンモニアを利用する燃焼技術の実用化にめどが付いたとしている。
エネルギー分野では、発電時にCO2を発生させない水素の利用拡大が期待されている。一方、その普及に向けては、運搬・貯蔵のコストが課題とされている。そこで、水素を運搬・貯蔵しやすくするエネルギーキャリアの1つとして、注目されているのがアンモニアの活用だ。アンモニアは水素含有量が高く、運搬・貯蔵が容易という特長がある他、肥料や化学原料として流通しており、輸送インフラが既に整っているといった利点がある。
IHIは、アンモニアの製造から利用までをつなぐバリューチェーンの構築を目指し、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の支援により、アンモニアを燃料として利用するガスタービンや石炭火力ボイラの燃焼技術などの開発に取り組んでいる。
今回実証試験に成功したアンモニアの混焼は、分散型電源の普及を背景に、今後も需要の増加が見込まれるガスタービンの燃料にアンモニアを利用することで、CO2排出量削減への寄与が期待される技術だ。一方で、燃焼速度の異なる天然ガスとアンモニアを混焼する際の燃焼安定性や、燃焼時に生成される窒素酸化物(NOx)の抑制が課題となっていた。今回の実証試験では、アンモニアに関する知見と、これまでに蓄積した燃焼技術を生かし、既存の燃焼器をアンモニア混焼用に改良することで、アンモニア混焼時の安定燃焼を達成すると同時に、NOxの生成を抑制することに成功した。
今後は、燃焼器のさらなる改良や運転制御技術の確立により、NOx発生量のさらなる抑制を検討していく方針だ。
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