西松建設がレドックスフロー電池を活用した蓄電池システムを開発。再生可能エネルギーの出力変動対策などに向けたもので、今後約1年間にわたって性能評価試験を実施する。
西松建設は、レドックスフロー電池の電解液開発製造を手掛けるLEシステム(福岡県久留米市)と共同で、太陽光発電などの再生可能エネルギー向けの蓄電システムを開発し、このほど実証試験を開始した。
太陽光発電や風力発電は出力が天候に左右される。そこで蓄電池を活用して出力変動を吸収し、系統の安定化に役立てる取り組みが広がっている。
西松建設は今回、こうした再生可能エネルギー向けの蓄電システムの開発を目指し、蓄電池の中でも安全性が高く、大容量化に適し、長期間安定稼働するバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)に着目した。VRFB電池は、電解液が不燃性であり、電池の運転は常温で行われるため、発火や爆発などの危険性を抑制できる。耐熱などの必要が無いため電池本体の寿命が長く、約20年の電池設計が可能といわれている。また、他の蓄電池が充放電の回数に限りがあることに比べ、VRFBは充放電が無制限とされており、電解液は半永久的に使用可能なため、20年以降のコストダウンにつながるという。蓄電容量が電解液の量で決まるため、タンクの増設などで蓄電容量も増やしやすい。
開発した蓄電システムは制御部や電池セル部など蓄電池に必要な機能を1つのコンテナに集約しており、設置および移動をしやすくした。実証試験では、20フィートコンテナに容量3kWh(キロワット時)の蓄電池を搭載し、西松建設の技術研究所にある既設太陽光発電と連系し、負荷をかけながら充放電を繰り返し、約1年間にわたって性能評価を行う。
評価は、VRFBの運転制御の確認、負荷変動によるVRFBの過電流耐量の特性確認、太陽光発電の変動する発電量に対する変動調整にかかる運転制御の確認、各種効率の確認の4項目を行う予定。
西松建設では、今後同システムの改良を重ね、再生可能エネルギーの電力需給に応じた蓄電システムの確立を目指す方針だ。
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