水道施設の未利用エネルギーを活用、宮城県に小水力発電所:自然エネルギー
丸紅が宮城県白石市に建設を進めていた小水力発電所が2018年4月から稼働を開始。既存の水道設備間の落差と水流量を活用した発電所だ。
丸紅の100%子会社である三峰川(みぶがわ)電力が事業主となり、建設を進めていた「宮城県白石発電所」(宮城県白石市)が完工し、2018年4月9日から商業運転を開始した。水道という既存の公共インフラの未利用エネルギーを活用した小水力発電所だ。
同事業は、宮城県仙南・仙塩広域水道事務所が管理する水道施設である「南部山浄水場」から「低区調整池」への送水管に水車発電機を設置し、浄水場から調整池に至る水道設備間の落差と水道水流量を活用しているの。宮城県が運営する仙南・仙塩広域水道事務所は「七ヶ宿ダム」を水源として、仙南および仙塩地域の17の市と町に対して水道用水を供給している。
建設した発電所の出力は95kW(キロワット)で、一般家庭約150世帯の年間電力消費量に相当する年間発電量を見込む。発電した電力は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を活用し売電する。
水車発電機と連系盤を設置する建屋 出典:丸紅
丸紅は、国内では三峰川電力を通じて、2000年から水力発電事業の運営を行い、同事業は長野県(伊那市・4カ所、茅野市・4カ所)、山梨県(北杜市・3カ所)、福島県(下郷町・2カ所、猪苗代町・1カ所)、広島県(広島市・2カ所、北広島町・1カ所)に続く国内18カ所目の発電所になる。
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