災害対応やインフラ維持管理などドローンの可能性、先進的な自治体の施策事例から読み解く第2回ドローン×インフラメンテナンス連続セミナー(2)(2/4 ページ)

» 2018年09月20日 14時30分 公開
[石原忍BUILT]

あらゆる分野でのドローン活用、新ビジネス創出を支援

千葉市・秋庭課長

 千葉市の取り組みは、千葉市 総合政策局 国家戦略特区推進課 課長・秋庭慎輔氏が登壇。インフラ点検とは違った観点で、ドローン活用支援の取り組みを紹介した。

 千葉市は「国家戦略特区」の第3次指定を2016年1月に受けている。以降、幕張新都心を中核に据えた「近未来技術実証・多文化都市」の構築を行ってきた。先端技術としては、ドローン・自動走行を活用し、子育て世代・高齢者などの生活利便性を向上させることを目標としている。

 2016年4月には、幕張ベイタウンで高層マンションへ薬品、ワインをドローン宅配する実証実験を行った。実験では、周囲にある薬局やイオンモールから、楽天のアプリを利用し、ドローンにスタッフが商品を積み込み、高層マンションへと商品を届けた。

 市の掲げる宅配構想では、幕張新都心に近接する東京湾臨海部の物流倉庫から、ドローンで海上や河川の上空を飛行して、新都心内の集積所まで運ぶビジョンを掲げている。

 市では、ドローン技術を“空の産業革命”と位置付け、都市部におけるドローン宅配の実現とともに、あらゆる分野でのドローン活用、新ビジネス創出の支援を行い、千葉市をドローン産業の一大集積地とすることを目指す。

千葉市のドローン宅配構想

 実現に向けて市では、国と共同で2018年3月23日に「ワンストップセンター」を設置。市役所の一室で、実証実験に関わる相談に応じ、航空法の許認可業務はできないが、これまでにマッチング相談やドローン活用イベント、利用方法の問い合わせなどで47件、月に換算して10件ほどの相談が寄せられたという。

 実証実験まで至った案件としては、学校施設の老朽化調査がある。ドローン撮影で3次元モデルを作成した場合、どのような成果が得られるか試したいという問い合わせがあり、千葉市内の中学校体育館を紹介。ドローン撮影した写真をベースに、写真解析技術を用いて、3次元モデルを作り、施設の劣化状況を把握できるか検証した。

実証実験を行った中学校体育館の老朽化調査

 また、市内外企業の技術開発と千葉市への企業誘致を目的に、市所有施設を活用した「ドローンフィールド」を開設し、2017年12月から利用をスタート。フィールドは、大和田調整池の一部(面積:約1万6200m2)、大高調整池の一部(面積:約8500m2)、農政センターの一部(面積:約8550m2)の3カ所。2018年8月末時点で、測量実験など4団体が利用し、7件の実証実験が行われた。市としては、企業の利用を見込んでいるが、ドローンスクールの練習に使いたいというニーズが多く、マッチングがうまくいっておらず、利用はまだ限定的だという。

 補助制度(企業立地補助制度)としては、「ちば共創企業賃借立地事業」「コア産業業界団体等立地促進事業」の2つの支援策で、ドローン関連企業の立地を促進している。

 3つ目は、各務原市が行った橋梁点検の実証実験から、ドローンを含めたロボット点検のメリットと課題を分析する。

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