災害対応やインフラ維持管理などドローンの可能性、先進的な自治体の施策事例から読み解く第2回ドローン×インフラメンテナンス連続セミナー(2)(1/4 ページ)

インフラメンテナンス国民会議は2018年9月14日、第2回となる「ドローン×インフラメンテナンス」連続セミナーを開催した。本稿では、当日のアジェンダのうち、独自のガイドラインを運用する福島県や宅配ドローン実験で注目を集めた千葉市など、先進的なドローン施策から、現状での課題と今後の可能性を探る。

» 2018年09月20日 14時30分 公開
[石原忍BUILT]

 第2回の「ドローン×インフラメンテナンス」連続セミナーでは、自治体におけるドローン活用に向けた取り組み事例の講演が複数展開された。

 横浜市では現在、中大口径の下水道管を対象に、ドローンによる点検調査が行われている。横浜市 環境創造局 下水道管路部 管路保全課 課長補佐(ストックマネジメント担当係長)・小林史幸氏が解説した。

横浜市は下水道の中大口径管でドローン点検、コスト1/3を実現

横浜市・小林課長補佐

 横浜市の下水道管路は、約1万1900km(キロ)=約60万スパンが地下に張り巡らされており、このうち管路800mm(ミリ)未満の小口径管は約1万km、800mm以上の中大口径管は約1900kmあるとされる。

 下水道管の破損・劣化などに起因する道路陥没件数は、年々増加傾向にあり、2017年だけで76件も発生している。

 一般的に下水道管の耐用年数は、“50年”といわれているが、敷設後50年が経過した下水道管は市内に現在約800kmあり、20年後には10倍の約8000kmとなることが予測され、喫緊の対応が求められている。

横浜市の下水道管老朽化の見通し。20年後には市内の大半の下水管が老朽化を迎える

 現状の点検方法は、小口径間の場合は、「自走式TVカメラ」を用いて詳細調査を行っている、2018年からは清掃と同時に「ノズルカメラ」を使って、スクリーニング調査を実施し、詳細調査が必要な箇所を抽出している。

 一方で、中大口径管は作業員が実際に管の中に潜り、目視で点検していたため、酸欠・有毒ガスなどの危険性や人が入り込むのに困難な場所があるなど、問題点が山積していた。対応策として、自走式・浮遊式TVカメラを活用して、作業性の向上やコスト縮減を図っている。

中大口径管の点検調査の問題点

 具体的なドローン施策としては、横浜市では2016年から、日水コンを研究代表とするドローンを活用したスクリーニング調査の産官学の共同研究プロジェクトに参画。ドローン技術の開発でブルーイノベーション、雲田商会、芝浦工大、画像解析で横浜国立大学、横浜市は行政課題・フィールド提供を担当している。研究目標としては、中大口径下水道管を対象にドローンを活用したスクリーニング調査で、判定基準のうち異常ランクA(鉄筋露出状態)・B(骨材露出状態)を抽出。さらにメーターあたり2000〜5000円かかっているコストを3分の1程度に抑えることを目指している。

ドローン点検の研究目標

 実用化に向けたハードルとしては、地下の非GPS環境への対応、下水が流れていること、狭いマンホールからの機器を搬入するといったことがある。これまでの研究では、管径φ1500〜3000mmの円形・長方形、線形は直線・曲線とさまざまな条件下でテスト。ドローンは、目視・目視外の手動飛行は4つの市販機に調査用カメラとLED照明を搭載したカスタム機と、自動飛行タイプは独自開発機を投入した。

 現状での成果としては、一定の条件下(管径、水深)で手動飛行によるスクリーニング調査の有用性を確認した。今後は、手動飛行による適用条件の拡大およびドローン熟練操作者の育成、自動飛行の確立、AI技術を用いた異常自動判定(自動画像解析、帳票作成システム)の開発を進めていくとした。

ドローン飛行状況(手動)の例

 次に、宅配ドローンの実証実験で注目を集めた千葉市の取り組みが紹介された。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.