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» 2018年12月27日 07時00分 公開

雑草対策に使う前に、太陽光発電事業者が知っておきたい農薬の安全性基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(7)(2/4 ページ)

[増田幹弘 野原ホールディングス株式会社,スマートジャパン]

なぜ地権者・近隣の人から理解が得られやすいのか?

 では、なぜ農薬が安全で管理しやすく、地権者・近隣の農家や林業の方にも説明しやすくなる(理解が得られやすくなる)のでしょうか。その理由は、農薬自体が地権者・近隣の農家や林業の方にもなじみのあるものであること(農薬の知識が共通言語になる)と、農薬は「検査の仕組み」「農薬取締法の歴史」「使用者側の法規制」など、しっかりした裏付けがあるからです。

 以下では、これらの点についてポイントを絞ってご説明します。なお、安全性をさらに深堀りすると「ADI(Acceptable Daily Intake)」(一日摂取許容量のこと)、「NOAEL(No Observed Adverse Effect Level)」(無毒性量のこと)や「100倍の安全係数」などがありますが、用語のご紹介だけにさせていただきます。

農薬の検査の仕組み

 農薬の検査の仕組みは、農薬の知識が少ない地権者、近隣への説明の際に役立つものと思われます。製造者・輸入者から薬剤を農薬として登録する申請を受けた農林水産省は、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)にその薬剤を登録して良いか否かの検査を指示します。指示を受けたFAMICは、製造者・輸入者より提出された試験成績書などに基づいて総合的に検査し、農林水産省に結果を報告します。この結果から農林水産省はその薬剤を農薬として登録するか否かを判断します。

農薬の検査・登録までの流れ

 FAMICが行う検査の内容は大きく「薬効の検査」「薬害の検査」「安全性の検査」の3つに別れます。薬効の検査では、登録申請された薬剤(以下、単に薬剤とします)が雑草や病害虫の防除に確実に効くかどうかを調べるものです。薬害の検査は、その薬剤を使用する農作物やその周辺の農作物に害を与えないかを調査します。これらは、第1回の記事で紹介した「直接リスク(雑草が原因となって直接引き起こす損害)」と「間接リスク(雑草やその対策が引き起こす損害)」に関連する重要な項目になります。

 3つ目の安全性の検査では、農薬使用者および農薬が使用された農作物を食べた場合の安全性、散布先の環境に対する安全性を検査します。

 また、申請者(製造・輸入者)は信頼性のおける試験機関において幾つもの「毒性試験」「残留試験」「環境への影響試験」などを行います。FAMICはこれらの試験結果も考慮し、総合的に薬剤の登録の可否を判断します。これらのさまざまな検査を通過して、はじめて農薬として認められるということになります。

 なお、毒性試験は短期間に大量の薬剤を摂取した場合の「急性毒性試験」と、少量であっても長期間に薬剤を摂取した場合の「慢性毒性試験」の2つがあり、防除作業者の安全性や、薬剤が使用された農作物を食べる人、土壌・水質への影響に関わってくるものです。近隣と環境への影響、防除作業員の安全性、残留性、毒性に大きく関連する部分ですので、読者の皆さまの記憶にとどめておいていただきたい項目です。

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