太陽光の発電不良、原因を自動分析する解析システム太陽光

住友電工が太陽光発電向けのデータ蓄積および解析装置を新開発。ストリング単位の電力値から、発電量の低下を引き起こしている原因を特定できるのが特徴だ。

» 2019年01月08日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

住友電工は2018年12月、太陽光発電所向けストリング監視システムと連携し、発電低下を早期に検出して発電量を最大化するデータ蓄積・解析装置を開発したと発表した。2019年4月から出荷開始する予定だ。

 近年国内で建設が進む太陽光発電所は、設置後20年以上稼働する。長期に発電量を安定して維持するには、発電量の低下につながる各種異常を即座に検知し、正常に復旧させることが重要になる。そのため、一般的には異常検知するための監視システムが導入されている。

 これまでの一般的な監視システムは、主に閾値(しきいち)より出力や発電量が低下しているかどうかで異常を判定していた。例えば発電量が一定値を下回ると異常と判断し、太陽光発電の管理者に通知される。しかし、発電量は、季節、時間帯、設置地域の他、発電所の周囲環境などさまざまな要因に依存するため、単なる閾値判定による判断では信用性に乏しく、また判定後も人間による分析・判断が必要となり、運用に経験値と労力が必要だという。

 こうした中で、住友電工は計測したストリング単位の電力値をAIを用いて異常判定し、緊急度別に通知するストリング監視システムを開発した。発電低下を捉えた際に、その原因をヒューズやブレーカーなどの異常か、木や草の影か、太陽光パネル自身の劣化か、などを特定し、不具合要因を最大7つに振り分け、その重要度に従い通知する。異常判定は太陽光発電の最小単位であるストリングごとに行う。オプションとして発電所の地図上に異常個所を緊急度別に色別で表示する機能も提供する予定で、異常個所の特定と現場作業者への正確な指示が可能になるとしている。

電流のデータから不具合要因を最大7つに振り分け、その重要度に従い通知を行う 出典:住友電工

 また、任意のメールアドレス宛に、日刊レポートメールを送る他、その日に計測した不具合や発電量などをビジュアルで分かりやすく示す機能を搭載している。

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