EVをつなぐ「V2G」は電力系統の安定化に有効、東京電力らが実証成果を公表電気自動車

東京電力ホールディングスなど7社が、電気自動車(EV)などの蓄電池を電力需給調整に活用する「V2G(Vehicle to Grid)」の実証試験結果を公表。太陽光発電などの再生可能エネルギー電源のさらなる普及拡大など、V2Gは電力系統の柔軟な運用に貢献できるとしている。

» 2019年03月08日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 2018年6月から共同でバーチャルパワープラント(VPP)構築実証試験に取り組んでいた東京電力ホールディングスなど7社はこのほど、電気自動車(EV)などの蓄電池を電力需給調整に活用する「V2G(Vehicle to Grid)」の実証試験結果を経済産業省に報告したと発表した。V2Gシステムが電力系統の安定化に寄与する見込みがたったという。

 今回の実証試験は、東京電力ホールディングスがアグリゲーションコーディネーターとなり、実証協力事業者として東京電力エナジーパートナー、東京電力パワーグリッド、日立システムズパワーサービス、三菱自動車工業。リソースアグリゲーターとして静岡ガス、日立ソリューションズが参加。EVと系統の間で電力を融通する技術の確立や、EVのモビリティ機能と分散エネルギーリソース機能を両立させるビジネスモデルを構築するなど、EVを活用したリソースアグリケーション事業の実現を目的に実施した。

実証の概要 出典:東京電力ホールディングス

 実証試験は静岡ガス東部支社、吉原基地および三菱自動車工業の岡崎製作所構内で行い、EV/PHEVと電力系統の間で双方向の電力融通を実現する国内最大規模の実証環境の構築に関する検証を実施し、電力系統安定化に寄与する有効性を確認した。

 具体的には、EV5台、プラグインハイブリッド車(PHEV)12台、EV/PHEV用充放電器(EVPS)を用いて、系統混雑緩和(電流制御)は、制御指令に対するEVPSおよびEV/PHEVの応答性と追従性について、秒単位での出力応答が可能であることを確認。将来的には高速通信環境と合わせることで、遠隔地から秒単位の制御指令にも活用できる見込みだという。

V2Gアグリゲーター事業のイメージ 出典:東京電力ホールディングス

 また、電圧上昇抑制(無効電力制御)についても、系統混雑緩和(電流制御)と同様に、制御指令どおりの出力応答が可能であることを確認した。

 EV/PHEVの活用により電力系統の安定化技術を向上させることで、太陽光発電などの自然変動電源のさらなる普及拡大など、電力系統の柔軟な運用に貢献できるとみている。

 7社は今後、V2G関連技術のさらなる研究を重ね、V2Gアグリゲーター事業の実現に向けて、ビジネスモデルの構築に取り組む方針だ。

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