近づくFIT制度の抜本改革、ポストFIT時代にソーラーシェアリングはどうなるのか?ソーラーシェアリング入門(19)(2/2 ページ)

» 2019年09月09日 07時00分 公開
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ソーラーシェアリングが持つ優位性とは何か?

 2012年以降、4000万kW近い事業用太陽光発電設備が導入されてきた中で、野立ての設備を設置できる空き地はほとんど探し尽くされたと思われます。国土交通省の土地基本調査によると、2013年時点の国内の空き地面積は約15万haでした。一方で、4000万kWの太陽光発電設備の設置に必要な面積は約6万ha(ヘクタール)程度です。実際には、農地転用であったり山林開発であったりとさまざまな形態の土地利用が行われているので一概にはいえませんが、それでも国内の空き地の相当数が太陽光発電所に既に用いられていると推測されます。対して、国内の農地面積は440万ha以上あり、農用地区域内農地403万haを含めてソーラーシェアリングはあらゆる農地に導入が可能です。

 土地利用コストが安価な農地を利用可能であること、そして農地として生産活動が行われることを含めて、ソーラーシェアリングには野立てなどと比べてコスト優位性があることは、本連載でも言及してきました。

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 国内の太陽光発電導入量は、2019年3月末時点で約5000万kWに達しました。既に、2030年度の政府計画におけるエネルギーミックスの導入量である約6400万kWという目標は陳腐化しています。新たな目標として、例えば国際エネルギー機関(IEA)が「World Energy Outlook」で公表している、2040年の持続可能目標シナリオの全世界導入率29%を目指すとすれば、国内では約2億5000万kWの導入量となります。

 ここから20年間で2億kWの新規導入というと途方もない数値に見えますが、これをソーラーシェアリングで導入する場合、全農地面積の5%相当にあたる20万ha程度を利用すれば達成されます。このポテンシャルから見ても、さらなる導入拡大のポテンシャルが立地面で十分にあるという点から、ソーラーシェアリングはポストFIT時代に向けて国内の再生可能エネルギー普及における主要な位置づけを占める可能性があるといえます。

広大な農地の存在は、ソーラーシェアリングのポテンシャルを示している
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