京セラが「世界初」の新型リチウムイオン電池を量産化、卒FITユーザーを取り込めるか蓄電・発電機器(1/2 ページ)

京セラが粘土(クレイ)状の材料を用いて電極を形成する「クレイ型リチウムイオン蓄電池」の量産化を決定。高い安全性と長寿命、低コスト化が可能なのが特徴で、採用第1弾製品として住宅用蓄電システムを2020年に販売する計画だ。

» 2019年10月07日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 京セラは2019年10月2日、粘土(クレイ)状の材料を用いて電極を形成する「クレイ型リチウムイオン蓄電池」の開発に「世界で初めて」(同社)成功し、2020年から量産を開始すると発表した。正負の電極層を従来の液体型リチウムイオン蓄電池の3〜5倍の厚さに設計でき、製造プロセスの大幅な簡素化と低コスト化を図れるのが特徴の蓄電池で、2020年1月に新型電池を採用した家庭用蓄電システム「Enerezza(エネレッツァ)」を少量限定で販売する。価格はオープン。

家庭用蓄電システム「Enerezza(エネレッツァ)」

 住宅用蓄電システムのエネレッツァは、1台当たり容量5.0kWh(キロワット時)の蓄電ユニットとパワーコンディショナーで構成。蓄電ユニットは最大3台まで接続可能で、5.0kWh、10.0kWh、15.0kWhの3種類のシステムを選択可能だ。蓄電ユニットの外形寸法と従量は485×562×280mm、64kg、パワーコンディショナーは495×554×197mm、30kg。LTE専用回線と通信モデムを標準で用意しており、稼働状況の見守りサービスも利用できる。ソフトウェアのアップデートも遠隔から可能だ。動作温度範囲は−20〜40℃に対応しており、日本全国のさまざまな利用環境に対応可能とした。

 エネレッツァで採用しているクレイ型リチウムイオン電池は、正極と負極の材料として、電解液を練り込んだ粘土状の材料を用いるのが最大の特徴となっている。一般的なリチウムイオン電池は、集電体とセパレータの間に電極材料を配置してバインダー(接着剤)で接着し、電解液を満たす。一方クレイ型では、電解液を練り込んだ粘土状の電極材料を厚塗りする構造で、バインダーが不要だ。京セラが開発したものでは、セパレータを挟んで粘土状の電極材料がそれぞれ300μ〜400μmの厚みを形成している。

クレイ型リチウムイオン電池の構造
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