小型太陽光・風力に事故報告を義務化、住宅太陽光は立ち入り検査対象に法制度・規制

経済産業省が小型の太陽光発電や風力発電に対する保安規制を強化する方針を公表。50kW未満の太陽光発電、20kW未満についても、報告徴収や事故報告の対象とする方針だ。

» 2019年11月28日 07時15分 公開
[スマートジャパン]

 経済産業省が2019年11月19日に開いた「新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ」で、小規模な太陽光発電や小型風力の安全対策を目的とした制度変更の方針が明らかになった。小規模な設備であっても、報告徴収や事故報告を義務付ける他、住宅用太陽光の立ち入り検査も行えるようにする方針だ。2019年度内に内容を固め、2020年度中の省令改正を目指す。

 2012年に再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)がスタートして以降、国内で急速に拡大した太陽光発電。出力規模での内訳をみると、その約98%が50kW(キロワット)未満の小型の太陽光発電設備だ。半数以上が10kW未満の住宅用太陽光発電だが、10〜50kW未満の野立て型の太陽光も数年で大きく増加している。また、風力発電についても、導入量の約91%が20kW未満の小型風力が占める状況となっている。

 一方、昨今大きな問題となっているのが太陽光発電設備を中心とした事故の増加だ。経済産業省ではこれまで一定規模の発電設備に対して、事前に技術基準への適合に関する確認内容を提出する「自己確認制度」や、事故が発生した際の報告義務の制度(報告徴収・事故報告)を導入し、安全対策を強化してきた。ただ現状は、50kW未満の太陽光発電、20kW未満の風力発電については、報告徴収や事故報告の対象外となっている。

小型太陽光発電と風力発電の事故例。この太陽光発電については、事故の影響で新幹線の運転が一時見合わせとなった 出典:経済産業省

 そこで今後、50kW未満の太陽光発電、20kW未満の風力発電については、民間によるガイドラインやチェックリストと国の技術基準との連携、一定水準の技術者による施工・保守点検の推進を図るとともに、報告徴収や事故報告の対象に加える。また、住宅用の10kW未満の太陽光発電設備については事故報告の対象外とする方針だが、立入検査の対象に含める方針だ。なお、インターネット経由での事故報告を認めるなど、報告内容の収集方法についての簡易化も検討する。

小型太陽光・風力に対する新たな保安規制のイメージ 出典:経済産業省

 この他、太陽光発電の設置者や設置形態の多様化、技術革新への対応などを踏まえ、太陽光発電設備に特化した新たな技術基準の整備を行う。

 今後のスケジュールについては、2019年度は報告徴収や立入検査の対象など、制度改正の具体的な内容や水上設置型の技術基準等の検討を行う。2020年度には省令改正の検討を進めつつ、民間ガイドラインなどと国の技術基準との連携、施工・保守管理を担う人材の確保策について、関係団体連携して取り組んでいく方針だ。

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