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» 2020年01月21日 07時00分 公開

太陽光:30cm角のペロブスカイト太陽電池で世界最高、パナソニックが効率16.09%を達成

パナソニックがNEDOプロジェクトにおいて、30cm角、開口面積802cm2、厚さ2mmのペロブスカイト太陽電池モジュールを開発。「世界最高」(同社)というエネルギー変換効率16.09%を達成した。

[スマートジャパン]

 パナソニックは2020年1月20日、大きさ30cm角、開口面積802cm2、厚さ2mmのペロブスカイト太陽電池モジュールを開発し、「世界最高」(同社)のエネルギー変換効率16.09%を達成したと発表した。ガラスを基板とする軽量化技術や、インクジェットを用いた大面積塗布法の改良により実現したもので、従来は設置が困難だった場所での高効率な太陽光発電を低コストで実現できるとしている。

開発したペロブスカイト太陽電池モジュール 出典:NEDO

 ペロブスカイト太陽電池は現在主流のシリコン系の太陽電池と比較し、高い変換効率と低い製造コストが期待できるため、次世代の太陽電池として注目されている。加えて、その構造上、発電層を含む厚みが結晶シリコン太陽電池の100分の1程度と薄いため軽量化しやすいという特徴がある。軽量化できれば建物など、従来は重量の制約から設置できなかった場所にも、太陽光発電を導入しやすくなるメリットがある。

 一方、普及に向けた課題となっていたのが、発電効率の向上と、大型化の両立だ。小面積セルにおいては結晶シリコンに匹敵する高効率が達成されているものの、均一な製膜の実現が難しく、大型化すると変換効率が大きく低下するという課題があった。そこで、パナソニックはNEDOプロジェクトにおいて、これらの課題を解決をする技術開発に取り組んできた。

 今回、同社が新たに開発した技術は2つ。1つはインクジェット塗布に適合した塗布液組成の改善だ。ペロブスカイト太陽電池の製造においては、大面積に精細で均一な層材料の塗布が可能なインクジェット法が用いられている。そこで、ペロブスカイト結晶を構成する原子団のうち、モジュール作製における加熱工程において、熱安定性に課題のあるメチルアミンの一部を、分子あるいは原子が適度に大きく、加熱脱離抑制効果のあるホルムアミジニウム、セシウム、ルビジウムに置き換えて結晶の安定化を図り、高変換効率化に貢献する塗布液を開発することに成功した。

 もう1つは、塗布液濃度および塗布量の調整などを高精度化する、インクジェット製造システムの制御技術の開発だ。インクジェット塗布法を用いた薄膜作製工程では、塗布パターンを自由に変更できる反面、材料をドット状に塗布・製膜後、塗布面内で均一に結晶化させる必要がある。これらの要件を満たすため、塗布液濃度を一定範囲で調製した上で、塗布工程における塗布量・速度を精密に制御することにより、大面積モジュールでの高い変換効率化を実現できたとしている。

インクジェット塗布法の模式図 出典:NEDO

 パナソニックとNEDOは今後、大面積ペロブスカイト太陽電池モジュールのさらなる低コスト化、軽量化により、これまで太陽電池が設置、適用されていなかった新市場への導入拡大を目指す。これに向け、ペロブスカイト層の材料開発により、結晶シリコン太陽電池モジュールに匹敵する高効率化を目指し、プロジェクトの最終目標であるモジュール生産コスト15円/Wの実現を目指す方針だ。

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