東京五輪の聖火にも活用、世界最大級の再エネ水素製造拠点が福島県に誕生自然エネルギー

福島県浪江町に世界最大級の再生可能エネルギーを活用した水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が誕生。太陽光発電の電力で、年間最大900トン規模の水素の製造と貯蔵が可能で、この水素は東京オリンピック・パラリンピックでも活用される予定だ。

» 2020年02月25日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 福島県浪江町で建設が進んでいた、世界最大級の再生可能エネルギーを活用した水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」が、2020年3月から稼働を開始する。太陽光発電の電力で、年間最大900トン規模の水素の製造と貯蔵が可能で、この水素は東京オリンピック・パラリンピックでも活用される予定だ。

 FH2Rは新エネルギー・産業技術総合開発機(NEDO)の技術検証プロジェクトで、東芝エネルギーシステムズ、東北電力および岩谷産業らが協力して開発を進めてきた。再生可能エネルギーの導入拡大に伴って発生する余剰電力で水素を製造し、その貯蔵・利用までも含めたシステム(Power-to-Gas)の検証を目的としたプロジェクトだ。

「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」の完成イメージ 出典:NEDO

 FH2Rでは拠点内にある太陽光発電と系統からの電力を用い、1万kW(キロワット)級と大型の水素製造装置により年間最大900トン規模の水素を製造できる。1日辺りの水素製造量は最大10Nm3で、これは約150世帯の1日の電力使用量に相当する電力量を発電できる他、燃料電池車(FCV)560台に水素を供給できる能力に相当するという。

「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」の水素製造能力のイメージ 出典:NEDO

 製造した水素は燃料電池による発電分野での利用や、工場や燃料電池車などのモビリティ分野に供給していく計画。「福島新エネ社会構想」に基づき、福島県内での再生可能エネルギーと水素を利用したエネルギーの地産地消にも活用する。プロジェクトではこうした市場の水素需要を予測し、最適に水素の製造・貯蔵を行えるシステムの構築も目的としている。水素製造量を調節することにより、電力系統の需給バランス調整にも活用する狙いだ。

 なお、FH2Rで製造した水素の一部は、東京オリンピック・パラリンピックの際に、燃料電池車などの燃料として活用。同大会では聖火台と一部の聖火リレートーチの燃料として、大会史上初めて水素が使われる計画だが、FH2Rで製造された水素も利用される予定だ。

 FH2Rの建設は2020年2月中に完了し、稼働は2020年3月からを予定している。NEDOは本格稼働に先立ち、2020年3月7日に現地で開所式を行う予定だ。

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