太陽光の「完全自家消費」に対応するパワコン、オムロンが新開発太陽光

オムロンは事業者が太陽光で発電した電力を売電することなく自身で全て消費する、「完全自家消費」に対応した新型パワーコンディショナーを2020年6月から販売すると発表。完全自家消費を実現するために必要な機能を内蔵し、システム構成機器数の最小化を実現できるという。

» 2020年03月31日 07時30分 公開
[スマートジャパン]

 オムロンは2020年3月30日、事業者が太陽光で発電した電力を売電することなく自身で全て消費する、「完全自家消費」に対応したパワーコンディショナー「KPW-A-2」を同年6月から販売すると発表した。完全自家消費を実現するために必要な機能を内蔵し、システム構成機器数の最小化を実現できる他、発電電力を99%程度の高精度で追従して高速に制御する技術などを搭載した。

新型パワコン「KPW-A-2」と同時発売の自家消費用ゲートウェイボックス 出典:オムロン

 昨今「RE100」への加盟企業が増えるなど、企業などにおける再生可能エネルギーの活用が加速している。一方、国内の送電網の空き容量が減少する中、太陽光発電の完全自家消費による再エネ活用に注目が集まっている。しかし、発電量が消費量を上回ることによる系統への逆流を防ぐために、消費電力に対して発電電力を約10%以上抑制するように設定することが一般的で、太陽光の電力を最大限活用することは難しかったという。

 オムロンが開発した新型パワコンは、消費電力に高速・高精度に追従して発電電力を制御することで、従来抑制していた発電電力の上限を、消費電力に対して最大で99%程度まで高められるという。さらに、逆電力保護継電器(RPR)やコントローラーなどの周辺機器の機能を内蔵することで機器構成数を最小化し、配線・設定工数などの設置コストも削減できるとする。

従来のパワコンと新型パワコン「KPW-A-2」の機能比較 出典:オムロン

 同時に自家消費用ゲートウェイボックス「KP-GWSC-A」も販売する計画で、これと接続すればパワコンの稼働状況や異常の遠隔監視も可能になる。

 新型パワコンの定格入力電圧はDC320V、入力回路数は4回路(1MPPT)、定格出力は5.5kW(キロワット)、変換効率は96%、外形寸法は450×484×232mm、本体重量は約20kg、対応温度環境は-20〜50℃で、重塩害地域における屋外設置に対応するモデルも展開する。

 オムロンでは今回の新型パワコンについて、同社の出資企業であるNTTスマイルエナジーと協業し、需要家の初期投資が不要な太陽光発電のPPAモデルでの活用も見込む。NTTスマイルエナジーを通じた新型パワコンによるPPAビジネスの仕組みも提供するとしている。

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