Looopとエネチェンジが再エネ投資ファンドを新設、その狙いとビジョンとは?自然エネルギー(3/3 ページ)

» 2020年05月18日 07時00分 公開
[廣町公則ITmedia]
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トルコ共和国も全面支援を約束

 第1号ファンドにおいては、エマージング諸国の中でも、制度面での安定性と実績に秀でたトルコとヨルダンを投資注力国として選定している。また、最初の投資案件としてトルコの太陽光発電所が選ばれた背景には、同国人口の継続的な増加と拡大する電力需要がある。トルコの総人口は8,000万人を超え、その約半分が32歳以下の若年層で占められており、人口増加に伴い、経済成長や産業多角化が進み、電力需要が着実に拡大しているのだ。

 一方で、トルコのエネルギー自給率は25%(2016年)と低く、同国政府は2023年までに国産エネルギーである再エネ比率を30%へ引き上げることを目標に掲げている。稼働中の太陽光発電設備は約6GWに及び、エネルギー憲章などの国際協定にも参画している。また、欧州系を中心に既に多くの外国資本が参画しており、再エネ市場の投資環境が整備されているというメリットもある。

 初の投資案件となるトルコ・デニズリ県の太陽光発電所は、2018年5月に運転を開始した発電設備。トルコの首都イスタンブールの南約300km、標高約260mに位置し、13.514MWの発電容量を有している。同発電所には、トルコ国民約8,000世帯分の年間電力供給量に相当する22.5GWhの供給能力がある。この案件には日本のFIT制度に類似した制度が適用されており、所在地域の配電会社向けに、10年間にわたって1kWhあたり13.3セント相当(米ドル換算)の固定価格で売電することができる。

 Looop代表取締役社長CEOの中村創一郎氏は言う。「トルコは、その市場規模と成長性、高い再エネニーズ、投資環境の観点から優れた市場であり、JAPAN ENERGY FUNDの第1号案件として進められることを大変喜ばしく思います。トルコと日本のエネルギー事業者が再エネ事業を共同運営していくことで、二国間のエネルギー協力を民間レベルで実現する、意義深い取り組みです。また、トルコに続く案件においても、アセットマネージャーとして成功へ向けて尽力していく所存です」

 トルコ共和国も同ファンドを歓迎しており、駐日特命全権大使のハサン・ムラット・メルジャン氏は次のように話している。「経済成長と人口増加により、エネルギーと天然資源の需要が増加しています。トルコは近年、OECD諸国の中でエネルギー需要が最も急速に伸びており、今後10年間でエネルギー消費量を2倍にする目標を掲げています。こうした中、Japan Energy Fundによるトルコのエネルギー分野への投資は、双方にとってウィン・ウィンのアプローチになると捉え、全面的に支援をしていきたいと考えています」

 なお、この日の発表は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、トルコ大使館(東京都渋谷区)からオンラインで行われた。

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