Looopとエネチェンジが再エネ投資ファンドを新設、その狙いとビジョンとは?自然エネルギー(1/3 ページ)

再エネ投資マネーの新たな受け皿が誕生した。新電力のLooopと電力比較サイトのENECHANGEが、共同でファンドビジネスに乗り出す。主な投資対象となるのは、電力需要の拡大とともにインフラ整備が進む新興諸国だ。

» 2020年05月18日 07時00分 公開
[廣町公則ITmedia]

 エネルギー情報サービスを幅広く手掛けるENECHANGE(エネチェンジ)と新電力のLooop(ループ)は2020年4月、海外特化型の脱炭素エネルギーファンドを設立したことを発表した。ファンドの名称は、JAPAN ENERGY FUND(略称JEF)。日本企業による海外への再エネ投資の新たな受け皿となる。ファンドの運営は、ENECHANGEとLooopが共同でJapan Energy Capital合同会社を通じて行う。

トルコ大使館で開催された「JAPAN ENERGY FUND」設立に関するオンライン発表会の様子。左から、ENECHANGE代表取締役会長兼CED城口洋平氏、トルコ共和国駐日特命全権大使ハサン・ムラット・メルジャン氏、Looop代表取締役社長CEO中村創一郎氏

第1号投資案件はトルコの太陽光発電所

 この日、明らかにされた最初の投資案件は、トルコ共和国デニズリ県で稼働している約13MWの太陽光発電所で、共同運営権を約1000万ドル(約11億円)の出資により取得するというもの。これを含む第1号ファンドは、1億ドル(約110億円)規模での事業展開となる見通し。ファンド組成日は2019年12月、運用期間は2029年12月までとされる。

 なお、同ファンドへは、北陸電力と大和エナジー・インフラが、リミテッドパートナーとして参画することを決定している。今後、脱炭素・ESG投資を実施する国内外の投資家を募集し、JEF全体としては総額1000億円規模にまで拡大することを目指す。

JAPAN ENERGY FUNDの事業スキーム 出典:エネチェンジ,Looop

 主要4社の役割分担は、以下の通りだ。

  • ENECHANGE:欧州・中東など海外での事業実績と、エネルギーデータ解析技術基盤
  • Looop:再エネ発電所の開発、運営実績に基づく発電所案件の精査、技術知見の提供
  • 大和エナジー・インフラ:国内外のエネルギー分野における投資の知見と実績
  • 北陸電力:総合エネルギー企業として長きにわたる電力事業の経験値を軸に発電所運営の技術知見の提供
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