再エネ導入で躍進する静岡県浜松市、ソーラーシェアリングに対する現場の声とはソーラーシェアリング入門(38)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)について解説する本連載。今回は静岡県浜松市で開催したソーラーシェアリングセミナーの様子をレポートします。

» 2020年10月12日 07時00分 公開

 2017年に千葉県匝瑳市で「匝瑳メガソーラーシェアリング」の完成が全国的に大きく報道されてから、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)についての講演依頼が殺到するようになり、現在では毎年40〜50件の講演活動を行うようになりました。

 この数年で全国で導入事例が増えてきたとはいえ、まだまだソーラーシェアリングの実物を見たことがなかったり、農業が上手くいっていない事例ばかりが目についたりすることで、地域でのソーラーシェアリングの取り組みに前向きになれないという声も耳にします。

 今回は、ご縁があり、久々に開催することができた静岡県浜松市でのソーラーシェアリングセミナーについて、当日の様子をレポートします。

1.再エネ導入に積極的な静岡県浜松市

 今回は、一般社団法人日本PVプランナー協会が主催者となり、浜松市と地域新電力である浜松新電力の共催というこれまでにない形式のセミナーでした。日本PVプランナー協会の地元会員企業4社(松原電機、キタイ電気、創電、MGプラン)が事務局の中心となり、そのご尽力によって農林水産省、静岡銀行、浜松いわた信用金庫、しずおか焼津信用金庫に後援をいただくこともでき、幅広い関係者の協力と支援を受けることが出来ました。これには、改めてソーラーシェアリングへ取り組むことの意欲と関心の高さを感じます。

 開催にあたっては、新型コロナウイルスの終息が見えない中で開催可能な時期を探り、会場の収容人員を定員の400名から100名へと大きく減らすなど、各所の感染対策ガイドラインに準じた対策を行いつつ、地元での開催を望む声に応えたセミナーになりました。

セミナー会場の風景

 開催地となった浜松市は、FIT制度の事業計画認定ベースで再生可能エネルギーの導入容量がなんと国内最大の自治体です。2020年3月末時点での太陽光発電の導入量も56万kWを超え、これは国内の住宅用・非住宅用を合わせた全太陽光発電設備の1%が浜松市にあることになります。

 ソーラーシェアリングについて見てみると、浜松市が属する静岡県は、農地の一時転用許可件数が都道府県別で全国第2位となっています。しかし、まだまだソーラーシェアリングの認知度が低いことや、農業が上手くいっていないような事例が目立つこともあり、改めてソーラーシェアリングの意義や事業の適正化を知っていただくことを目指して、静岡県内では初という、本格的なソーラーシェアリングセミナーの開催に至りました。

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