日本政府もついに「温室効果ガスゼロ」を標榜、ソーラーシェアリングにできることは?ソーラーシェアリング入門(39)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)について解説する本連載。菅首相が「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標を表明し、日本も本格的に脱炭素化に向けた機運が高まる中、ソーラーシェアリングが脱炭素化にどのように貢献できるのかについて考察します。

» 2020年11月19日 07時00分 公開

 2020年10月26日の菅総理大臣による所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標が宣言されました。今回は、従来の「80%削減」からさらに踏み込んだこの目標達成に向けて、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)がどのように貢献することができるかを考えてみます。

 所信表明演説を受けて、再生可能エネルギー発電の増加を求める声が増していますが、国全体としてのゼロエミッションということになると、ことは電気だけの話にとどまりません。

 国内で消費されるエネルギー資源の割合を、資源エネルギー庁が公表している総合エネルギー統計のデータから見ていくと、2018年度時点で一次エネルギー供給における再生可能エネルギーの占める割合は、大型水力発電まで含めても11.7%です。最終エネルギー消費に占める電気の割合を示す電化率も2018年度に25.9%ですから、再生可能エネルギー発電だけをただ増やしてもゼロエミッションは達成されません。熱や燃料といった化石燃料に大きく依存する他のエネルギー利用も含めて、打つべき手を考える必要があります。

 そのために、最大限の電化を推進してエネルギー消費における電気の割合を高め、それを再生可能エネルギー発電で補うというのは一つの手段です。住宅ではかつてのオール電化に始まり、現在のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などエネルギー収支まで見た転換が図られています。

自動車などの電化は従来の想定以上のスピードで進むことに

 また昨今は、世界的にEV(電気自動車)の販売量が増加傾向にあることから、輸送用燃料も電気へと転換していくことが可能となってきました。再生可能エネルギー発電に十分な経済性を持たせるほどの技術開発と普及を図り、電化の促進とともにゼロエミッションに向けた第一選択とすることは、十分に考えられます。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.