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» 2020年11月19日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(39):日本政府もついに「温室効果ガスゼロ」を標榜、ソーラーシェアリングにできることは? (2/2)

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]
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ソーラーシェアリングは日本の脱炭素化にどう貢献できるのか?

 さて、その方向性の中でソーラーシェアリングはどのような形で貢献できるでしょうか。一つはもちろん、再生可能エネルギー発電の導入量を劇的に増加させるという点です。

 国内の440万ヘクタールある農地面積を考慮した場合、今後の太陽光パネルの性能向上も見越して、1ha当たり1000kWpのソーラーシェアリングが導入できると想定できます。1000kWp当たりの年間の発電電力量を100万kWhと仮定すると、1万haの農地にソーラーシェアリングを導入すれば100億kWhとなり、現在の電力最終消費量の1%程度に相当します。国内の農地の5%にあたる22万haに導入できれば、20%以上の電力需要を賄える計算です。

 ただ、このエネルギー量は国内の最終エネルギー消費5%程度にとどまります。エネルギー効率の改善と電化の推進を考慮しても、少なくとも国内農地の10%を活用し、最終エネルギー消費の10%以上を占めるようになっていくのが、ソーラーシェアリングの普及における一つのマイルストーンとして置けると考えます。

導入エリアは農村地に限らず

 さらに、その電源としての立地が地方の農村部だけに限られないのも、ソーラーシェアリングの特徴です。人口集中地帯である関東平野には60万ha以上の農地があり、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県だけでも22万ha以上になるため、その全域をソーラーシェアリングに活用したと仮定すると、ここだけで国内の電力需要の20%を賄えます。風力発電、水力発電、地熱発電のようにエネルギー源となる自然資源の偏りが大きくない太陽光発電であれば、需要地である都市部の近くでもまとまった再生可能エネルギーを確保できることが強みとなります。

都市近郊でも再生可能エネルギーを生産できる(写真:小田原かなごてファーム)

 2050年のゼロエミッションを目指すには、まずその時点で想定される一次エネルギー供給構造と部門別のエネルギー需要などを設定し、それを達成していくために2030年や2040年といったマイルストーンを置くことが必要です。その上で、現実的な普及しつつある技術の積み上げや、イノベーションが必要とされる部分などを整理していくことになりますが、そこでは各地にポテンシャルが分散するソーラーシェアリングが占める役割は、非常に重要なものになるでしょう。

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