「今後の10年」を決める1年に、2021年のエネルギー市場はどうなるのか?ソーラーシェアリング入門(41)(1/3 ページ)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)について解説する本連載。今回は、これかの日本のエネルギー政策にとって、非常に重要な年といえる2021年のエネルギー市場を展望します。

» 2021年01月13日 07時00分 公開

 年末の記事では激動の2020年を振り返りましたが、今回は新年1本目の記事ということで、2021年の日本のエネルギー市場がどのような年になるかを考えてみたいと思います。まず、確信を持って言えることは、日本のエネルギー政策にとってこれからの10年を決定付ける重要な一年になるということです。

 今回の記事では、SDGsの達成に向けて、もはや1人1人が社会に関わる主体として、社会課題の解決に向け行動することが求められる時代にあって、今年は「どんな世の中になるか」を予測するのではなく、「どんな世の中を作るべきか」を考えてみたいと思います。

つかみ取るべき未来を定める1年が始まる

年始から始まるエネルギー政策の議論

 昨年10月に菅総理大臣から表明された2050年ゼロエミッション目標を達成すべく、年始の通常国会ではその数値目標を盛り込んだ、地球温暖化対策推進法の改正案などが議論される見通しです。加えて、今年は第6次エネルギー基本計画の見直しが本格化しますが、気候変動問題への対応やゼロエミッション達成に向けての国家戦略を議論する中では、エネルギー基本計画すら個別の施策を定めるものでしかありません。よって、全体方針の議論の結果を受けて見直しの方向性も決まってくることになるでしょう。

 既に2050年や、その一里塚となる2030年の再エネ導入目標の見直しに対して、さまざまな立場から提言が行われています。既存政策の延長線上では、エネルギー供給構造高度化法に基づく告示である「非化石エネルギー源の利用に関する電気事業者の判断の基準」で、令和12年度(2030年度)の電気事業者に対する非化石電源比率44%が目標設定されており、これを再生可能エネルギーのみで達成出来るようにするというのが一つの目安になると言えます。

 こうしたさまざまなパターンでのシナリオ提言が活発化し、2021年はエネルギー政策についてあらゆる階層での議論を重ね、私たちが歩む方向を定めていくことになるでしょう。

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