激動の年となった2020年、ソーラーシェアリング市場に起こった変化とはソーラーシェアリング入門(40)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)について解説する本連載。今回は世界的に激動の年となった2020年に、ソーラーシェアリングを取り巻く状況がどのように変化をしてきたのかを振り返ります。

» 2020年12月28日 07時00分 公開

コロナで激動の2020年、再エネ市場を振り返る

 今回は年の瀬が迫る中、人類史に刻まれるであろう世界的な激動の年に、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を取り巻く状況がどのように変化をしてきたのかを振り返りたいと思います。ちなみに、年始には2020年がどのような年になるのかを下記のように予想していました。

 今になって見返してみると、Non-FITとして事業用太陽光発電の電気をオープンに買う小売電気事業者は相変わらず皆無である一方、全量FITとFIPの併用は予想通りの流れとなりました。太陽光発電の入札制度については対象が250kW以上に広がったことで、おそらく2019年度のFIT認定に間に合わなかったものが2020年度へと流れ込んだ結果に。入札価格は下がっているものの、市場は相変わらず冷え込んだままとなっています。

 また、RE100などに参画する企業がNon-FITの再エネを調達する動きも少なからず出てきていますが、これもまだまだエネルギー市場全体のなかでは、微々たるものにとどまっている状況です。

政策的な動きが激しかった1年に

 そうした中で、ソーラーシェアリングが再生可能エネルギー大量導入のど真ん中を占めるに至ることを予感させた今年の出来事が、年始の通常国会における代表質問でのソーラーシェアリングについての質疑です。他の再エネ電源種を差し置いて、当時の安倍総理と国民民主党の玉木代表との間で交わされた質疑は、答弁が政府の従来の立場を繰り返したものであるにせよ、総理大臣の口からソーラーシェアリングの促進策を講じていくことが明言されたという点で意義深いものでした。

 その後、2020年度のFIT制度で地域活用要件が設定され、自家消費要件によって低圧規模の野立ての太陽光発電事業が軒並み排除された中でも、特定営農型太陽光発電という枠で一部のソーラーシェアリングが全量FITの枠に残ることになりました。この非常に特例的と言える取り組みによって、従来から低圧規模の太陽光発電事業を手がけていた事業者がソーラーシェアリングに参入するきっかけ作りにもなり、私が把握している範囲だけでも2000〜3000件以上の新規事業計画が出てきています。その観点から言えば、特定営農型太陽光発電の設定は確実にソーラーシェアリングの拡大に寄与していると言えるでしょう。

FIT制度の改正で活気付くソーラーシェアリング市場

 そして、10月には菅総理が2050年のゼロエミッション達成を表明、11月には河野太郎行政制度改革担当大臣が再生可能エネルギーに関する規制改革に着手し、12月から具体的な議論も始まっています。そこではソーラーシェアリングも大きなテーマになっていますし、一方で荒廃農地を再生可能エネルギー事業用地として開放することを求める動きもあります。私も河野大臣と直接面会して、ソーラーシェアリング推進連盟などから規制改革についての意見を提出していますが、その中では系統制約の解消や融資メニューの拡充など更なる普及に向けた制度設計の必要性などを記載しました。

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