日本が目指す「温室効果ガス46%削減」、その実現に必要な再エネ導入の「現実解」を考えるソーラーシェアリング入門(45)(2/3 ページ)

» 2021年05月06日 07時00分 公開

2030年の再生可能エネルギー導入目標はどうあるべき?

 では、再生可能エネルギー導入目標をどの水準にするかについての議論はどう進んでいるのでしょうか。4月7日に開催された「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第31回)」では、資源エネルギー庁による試算値が下記の通り提示されました。

各再生可能エネルギーの導入ポテンシャル 出典:再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第31回)資料

 ここでは、政策努力を継続して現行の導入ペースを維持・継続するケース(努力継続)と、政策対応を強化したケース(政策強化)の2つの試算値が示されています。各電源種の事業化に必要なリードタイムも踏まえられており、その結果として政策強化ケースでも2030年の再生可能エネルギーの比率は30%程度という数値になっています。この30%程度という再生可能エネルギーの目標数値に、原子力発電を20%程度を加えて導出されたのが、先の梶山大臣の2030年に脱炭素エネルギー5割以上という発言だと推測できます。

 しかし、ここまでの再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で行われてきた事業者・団体へのヒアリングでは、2030年の再生可能エネルギー電源比率40〜50%という提言が行われてきた中で、「政策強化を図っても30%」という試算値には大きな乖離(かいり)が生じています。

 現実問題として目標年次の2030年まであと9年しか残されておらず、政策議論をしてその実行に至るまでには1〜2年を要してしまうであろうことを勘案すると、実質的に7年程度しか再生可能エネルギーのさらなる事業化拡大に投入できる時間がありません。結果としてリードタイムの短い太陽光発電に期待が集まることになり、今回の資源エネルギー庁による試算値でも政策強化ケースの太陽光発電の数値が「さらなる検討が必要」という記載がなされ、住宅用太陽光発電の設置義務化といった案が取り沙汰されています。

 しかし問題は、2030年の再生可能エネルギー比率を40〜50%に持って行くとするならば、今回の資源エネルギー庁の試算値に加え、1000〜2000億kWhの発電量を積み増さなければならないことです。

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