屋内や日陰でも発電できるフレキシブル太陽電池、リコーがサンプル出荷へ太陽光

リコーが屋内や日陰でも発電できる薄型かつ軽量でフィルム形状の有機薄膜太陽電池を開発し、同年9月からサンプル出荷を開始すると発表した。九州大学と共同で開発したもので、センサーなどに用いる独立電源向けのフレキシブル環境発電デバイスとして展開する。

» 2021年08月23日 08時00分 公開
[スマートジャパン]

 リコーは2021年8月18日、屋内や日陰でも発電できる薄型かつ軽量でフィルム形状の有機薄膜太陽電池を開発し、同年9月からサンプル出荷を開始すると発表した。九州大学と共同で開発したもので、センサーなどに用いる独立電源向けのフレキシブル環境発電デバイスとして展開する。

開発した有機薄膜太陽電池を採用したフレキシブル環境発電デバイスの外観 出典:リコー

 開発した有機薄膜太陽電池は、リコーと九州大学が2013年から共同研究・開発した発電材料を採用。九州大学の高性能有機半導体設計および合成技術と、リコーが長年複合機の開発で培ってきた有機感光体の材料技術を組み合わせた。これにより屋内のような200lx(ルクス)程度の低照度から、屋外の日陰などの中照度(約1万lx)環境下でも、高効率な発電を実現するという。

リコーが開発した有機薄膜太陽電池の構成と機能 出典:リコー

 具体的には、約200lxで最大出力84μW、最大出力動作電圧3.3V、最大出力動作電流25μA。約1万lxで最大出力4200μW、最大出力動作電圧3.5V、最大出力動作電流1200μA。また、これらの照度域において約11%前後の変換効率を維持できる他、疑似太陽光(10万lx)の連続照射試験においても、500時間以上の照射後も80%弱の高出力を維持することを確認した。

リコーが開発した有機薄膜太陽電池の光電変換効率 出典:リコー

 加えて、薄型・軽量で曲げることが可能なフィルム形状であるため、さまざまな形状のIoTデバイスに搭載できる点も大きな特徴となっている。さらに、1セルに陰がかかっても急激な出力低下が起きないのも特徴だという。

 リコーでは2020年から提供している屋内向けの固体型色素増感太陽電池(DSSC)に次ぐ環境発電デバイスとして、IoTデバイスメーカーやサービス事業者、商社向けにサンプル提供を行い、早期の商品ラインアップ化を目指す方針だ。

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