今回のC+podを使ったEVシェアリングサービスでは、スマートフォンを使って利用の予約や車両の解/施錠などを行う。この仕組みはSBテクノロジーが担当する。また、シェアリングのノウハウや移動需要の創出と予測などに関しては、既に全国でシェアサイクルの事業を展開しているOpenStreet(オープンストリート)が協力する。先に触れたように、C+podのガレーにはシェアサイクルのブースも併設できるようになっている。
今回SBテクノロジーが構築した仕組みでは、EVシェアリングの管理者に対して、EVごとの充電残量を始めとする各種データを提供できる。例えば、EVの利用によって実際にどれぐらいのCO2の排出が削減できたかも見える化でき、将来的には人工知能(AI)を使って、CO2の削減量を予測できるサービスも検討しているという。
SBテクノロジー・執行役員の児玉 崇氏は「“EV”や“ゼロ・カーボン”という言葉がたくさん聞かれるが、一般のユーザーが環境への貢献度を体験できる機会はあまりなかった。しかし最近では、そういった体験ができるから、そのサービスを使うといったような流れが生まれつつあるように思う。そこで、今回のサービスでは、実際にEVやシェアサイクルと使ったときに、どれだけCO2の削減に貢献できているかを“見える化”する仕組みを提供した」と説明する。
2022年1月にスタートする多治見市でのEVシェアリングだが、車両としてはトヨタのC+podを利用してのサービス開始となる。しかし、将来的なモデルとしては、ガソリン車からエンジンなどを取り外しモーターが付いたパワートレインに交換する「EVコンバージョン」のビジョンも想定されている。
このEVコンバージョンに関して中心となるのは、自動車や船舶などに関する計測、制御、システムデザインなどで高い技術を持つ企業であるAZAPA(アザパ)だ。同社はベースとなる「eアクスル」と呼ぶEV化に必要なモーターやインバーター、車軸などをパッケージ化したものを中国から輸入し、換装に必要な機構、ブラケットなどを開発してシステムユニットを作る。また、このユニットを効率的に制御・稼働させるためのソフトウェアの開発も担当する。
さらに、多治見市で自動車の販売・整備を手掛ける米田モータースが実車への換装作業を担う。
コンバージョンEVの事業計画について、AZAPA・社長の近藤康弘氏は、「来年度100台作れるような受注体制を作る。100台以上のものに関しては、自動車メーカーと協力しながら製造ラインを設置してもらう」との計画を示した。さらに、近藤氏は、今後EVが普及して価格が下がるタイミングで「基本的には100万円を切る価格で提供できるようにしたい」と語る。
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