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» 2021年12月07日 13時00分 公開

超伝導で送電ロスを95%以上削減、プラント向けの次世代省エネ技術に成果省エネ機器(1/2 ページ)

NEDOと昭和電線ケーブルシステム、BASFジャパンが、民間プラントの実系統に三相同軸型超電導ケーブルシステムを導入する実証試験を完了したと発表。昭和電線ケーブルシステムが中核になって開発した三相同軸型超電導ケーブルシステムをBASFジャパンの戸塚工場に導入し、約1年間安定稼働させ、商用化に向けた技術実証を確認したという。

[スマートジャパン]

 NEDO、昭和電線ケーブルシステム、BASFジャパンは2021年12月6日、民間プラントの実系統に三相同軸型超電導ケーブルシステムを導入する実証試験を完了したと発表した。プラント内における大幅な送電ロスの削減効果が得られた他、商用化に向けた技術実証を確認できたという。昭和電線ケーブルシステムは今後、2026年までの市場導入を目指して開発を継続する方針だ。

 この実証はNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の一環として実施したもの。電力損失が生じない高効率な電力供給技術として期待される超電導技術は、超電導状態を維持するために液体窒素などで冷却し続ける必要がある。このプロジェクトでは既に液体窒素などの冷媒貯蔵設備を保有する大規模電力利用プラントを対象とし、高効率かつ低コストな超電導ケーブルシステムの開発と導入、夏などの酷暑においても安定的に稼働する冷却システムの確立、送電ロスの大幅な削減による省エネ効果について確認することを目的としている。

送電ロスの低減に有効として期待される超電導ケーブル 出所:昭和電線ケーブルシステム

 実証は、昭和電線ケーブルシステムが中核になって開発した三相同軸型超電導ケーブルシステムを、BASFジャパンの戸塚工場(横浜市戸塚区)に導入。2020年11月〜2021年9月にわたる約1年間システムの稼働を検証した。

 実証で利用した三相同軸型超電導ケーブルシステムは、2017〜2018年度に開発したもので、低コストでコンパクトな点が特徴となっている。三相同軸型ケーブルでは誘導電界を遮断するための遮蔽層に使用する超電導線材の量を単心ケーブルの3分の1にできることから、トータルの超電導線材のコストを3分の2に削減できるという。また、三相同軸型とすることでケーブルが1本になるため、コンパクトで柔軟性のある構造を実現した。

開発した超電導ケーブル 出所:昭和電線ケーブルシステム

 通常の単芯ケーブルは三相交流の各相を独立して流すため、終端電極が6台必要になりる。これに対し、三相同軸型では同軸に電極を配列することにより2台で収まるため、コンパクトな形状を実現できたという。また、ケーブルの三相同軸化に伴い、中間接続についても既存技術を発展させた同軸接続構造を採用し、外径340mmのコンパクトな形状とた。この中間接続技術の確立により、線路の長距離化が可能になった。

 こうしたケーブル関連のシステムに加え、冷却システムも新たに開発を行った。今回採用した「サブクール式冷却システム」はエア・ウォーターと昭和電線ケーブルシステムが共同開発したもので、密閉容器に蓄えた液体窒素を減圧することによって、液体が気体に変わる際の蒸発潜熱を利用してマイナス200℃まで冷却する仕組み。プラントで大量に保有している液体窒素を冷媒として利用し、減圧するために排気した窒素ガスは回収してプラントで利用するというコンセプトで設計した。

実証システムのイメージ 出所:昭和電線ケーブルシステム
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