先述のとおり、東京等の3エリアでは2022年7月の予備率は3.1%に過ぎないことから、夏季に向けた追加供給力(kW)公募を実施することが予定されている。
kW公募は2021年度冬季に東京エリアにて初めて実施され、55万kWの募集量に対して63万kWが落札され、合計落札額は約90億円となった。今夏に向けたkW公募の募集量等の詳細は現時点未定であるが、2022年7月からの供給力調達のためには、1日も早い募集要綱の決定や入札受付が必要とされる。
昨年以来、LNG等の燃料価格が高騰しているが、ウクライナ情勢等の影響により燃料調達そのものが困難となるリスクが高まりつつある。
2020年度冬季に燃料逼迫による全国的なkWh不足が発生したことを踏まえ、2021年度冬季には、一般送配電事業者9社によるkWh公募(燃料等の追加調達)が実施された。募集量3億kWhに対して落札電力量は4.19億kWh、加重平均単価は35.88円/kWhであった。燃料調達リスクを緩和するため、2022年度夏季に向けても、kWh公募を実施することが提案されている。
kWh公募に関しても詳細は未定であるが、燃料(LNG)の追加的調達には2カ月程度を要することから、公募の実施を急ぐ必要がある。
供給力確保に向けた最大限の努力は大前提として、万一の場合に備えた需要側の対策も必要とされている。2022年3月22日の東京・東北エリアの電力需給逼迫に際しては、初めての電力需給ひっ迫警報が発令され、需要家に対して節電要請が発出された。
今後、節電要請だけでは需給逼迫が解消できない場合、深刻なブラックアウト(全域停電)を防ぐためには、電気事業法に基づく「使用制限令」が発令されることも考えられる。
また社会的混乱を最小化するために、セーフティネットとしての計画停電についても実施の準備が進められる予定である。
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