新電力の2021年期の決算、6割近くの企業が赤字に電力供給サービス

東京商工リサーチは2022年4月26日、新電力の2021年の決算に関する調査結果を発表した。それによると、電力小売販売を主力とする新電力212社のの決算(2021年1月期−2021年12月期)は、赤字が56.3%と半数を超え、前期(同24.1%)から大幅に上昇した。

» 2022年04月28日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 東京商工リサーチは2022年4月26日、新電力の2021年の決算に関する調査結果を発表した。それによると、電力小売販売を主力とする新電力212社のの決算(2021年1月期−2021年12月期)は、赤字が56.3%と半数を超え、前期(同24.1%)から大幅に上昇した。

 2021年から2022年にかけて、新電力の経営環境は大変厳しい状況を迎えている。2021年1月には日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格が大幅に高騰し、JEPXに電力調達を依存する新電力は調達コストが急激に上昇する結果となった。同年3月には大手F-Powerが会社更生法を申請。経営状態が悪化する新電力が急増し、2021年は倒産が14件に到達した。なお、東京商工リサーチによると、2021年以降に経営破たんした新電力15社は、すべて電力販売事業のみを手掛ける専業企業だったという。

 さらに2022年に入ってからも、原油を含む資源価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻などで電力市場の価格が高止まりし、いわゆる逆ざや状態が続いている。こうした状況を背景に、新電力事業者の新規契約の受付停止や事業からの撤退が相次いでいる状況だ。

 東京商工リサーチの調査によると、最新期決算で3期連続比較が可能な137社の売上高の合計は、2021年期が1兆8699億円(前期比2348億円増、14.3%増)と、増収になった。しかし、当期利益の合計(対象139社)は593億円の赤字で、前期(326億円の黒字)から大幅に落ち込み、赤字に転落。2021年1月以降の電力需給ひっ迫で、調達価格の高騰が影響し、利益を押し下げたかたちだ。

電力販売のみを手掛ける新電力専業企業の業績推移 出典:東京商工リサーチ

 最新期の損益が判明した181社中、黒字は79社に対し、赤字は102社(構成比56.3%)と6割に迫った。赤字企業は、前期(2020年)が24.1%(178社中、43社)、前々期が29.6%(155社中、46社)だったが、最新期は急上昇し、半数以上が赤字に転落した。自前の発電施設や固定価格の調達先を持たず、JPEXへの取引依存度が高い新電力ほど事業環境が悪化し、利益確保が難しかった状況が伺えるという。

 なお、最新決算の売上高別(対象183社)では、最多が売上高1〜5億円未満の45社(構成比24.5%)、次いで10〜50億円未満が42社(同22.9%)、100億円以上が39社(同21.3%)と続いている。売上高10億円未満の小規模企業が86社(同46.9%)で、全体の5割を占めた。一方、100億円以上も約2割を占め、このうち売上高1000億円以上は5社だった。全国展開する大手と、地域やターゲット層を絞る企業の二極化が進んでいる状況だ。

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