2022年3月22日に関東エリアを中心に発生した大規模停電のリスク。資源エネルギー庁の「電力・ガス基本政策小委員会」第46回会合では、昨冬のデマンドレスポンス(DR)の効果や今後の需要側対策の深掘りなどが検討された。
今年の3月22日に東京・東北エリアを季節外れの寒波が襲ったことにより、初の「需給逼迫(ひっぱく)」警報が発令されたが、緊急的な供給力の積み増し対策や幅広い需要抑制により、かろうじて大規模停電を回避することが可能となった。
2022年度は夏季・冬季とも需給逼迫が想定されているものの、これ以上の短期的な供給力確保は困難な状況であるため、需要側対策の深掘りが期待されている。
資源エネルギー庁の「電力・ガス基本政策小委員会」第46回会合では、昨冬のデマンドレスポンス(DR)の効果や今後の需要側対策の深掘りなどが検討された。
東京電力パワーグリッド(PG)によると、3月22日の需要実績は89,145万kWhであった。節電前の需要(仮に、国や東電等による「節電要請が無かりせば」という推計値)は92,294万kWhであるため、節電量は3,149万kWh(約3%)と推計される。
これまで速報・暫定値として節電量は約4,400万kWhと試算されてきたが、これは前日18時点の想定需要と比較した推計節電量であった。
3月22日の実際の気温(15〜22時)は前日想定よりも高くなったことにより、節電前推計需要も少し下がることとなった。
つまり22日当日は、まず気温の改善により救われた面が大きいと言える。(図1のオレンジ線とグリーン線の差分)
その上で、節電要請により実現した節電量・節電率を電圧種別に集計したものが表1である。総需要の40%を占める低圧電灯需要(主に家庭)では節電率は4%と推計されており、エアコン等の電気暖房を控えめにしたことが推測される。
これは比較的温暖な東電エリアならではの効果であり、北海道や東北北部のように元々電気暖房が少なめのエリアでは、このように大きな節電率は得られない可能性がある。また特別高圧産業用の節電率が7%となっているが、比較データ入手の制約のため、節電率が過大評価となっている可能性が指摘されている。
なお需要家自身による明示的な節電行動のほかに、東京電力PGによる「供給電圧調整」によって、需要が約986万kWh抑制されたことが報告されている。
これは、送配電事業者は供給する電気の電圧を一定の範囲内に維持することが義務付けられているが、変電所から送り出す設定を変更することにより、支障の少ない範囲で電圧を下げ、半ば自動的・強制的に節電を行う対策である。
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