EVの導入で「電気料金が上昇」を防ぐ、パナソニックが新たな充電ソリューション電気自動車(1/2 ページ)

パナソニックエレクトリックワークス社は2022年5月、大阪府門真市のエレクトリックワークス社門真本社にて、EV充電ソリューションである「Charge-ment」の発表を行った。このソリューションを活用すると、EVを複数台活用する企業や自治体でも効率的な充電ができ、充電のピークを調整して電気の基本料金の上昇を抑制できる。また、適切な能力の受電設備での運用が可能になるという。

» 2022年08月22日 07時00分 公開
[川本鉄馬スマートジャパン]

 脱炭素社会の実現や燃費コストの削減を目指して、昨今は企業や自治体に多くのEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド電気自動車)が導入されるようになった。そこでクローズアップされるのが、充電に関する問題だ。複数のEV/PHEVを所有する事業所では、車両の帰社後に一斉に充電が開始される。このため、一時的に帰社する昼や夕方から夜間に電力消費のピークを生み、これが電力契約の上昇を招く可能性がある。

複数のEVやPHEVが一斉に充電を開始すると、使用電力のピークを生みやすい
電気自動車における充電時の課題。多くのEVやPHEVが一斉に充電を開始すると、その時間帯に電力使用量のピークがくる。

 パナソニックが発表した「Charge-ment(チャージメント)」は、EV/PHEVへの充電を統合制御し、複数の車両を効率的に充電するソリューションだ。Charge-mentを活用すると個々の車両への充電具合を調整し、全体の電力消費を平準化できる。これによって電力消費のピークを生まない充電となり、最適な電力コストでEVを運用できるようになる。また、ピークに合わせた能力の受電設備を追加するのではなく、EVやPHEVの充電に合わせた最適な能力を持つ設備や、場合によっては受電設備の追加なしでEV/PHEV運用が可能になる。

使用電力のピークを作らず、基本料金を最適化

 日本における電力の契約には、過去1年間における30分間の電力使用量の平均が最大となった月の電力量によって次期1年間の月の基本料金が決まる「デマンド契約」という仕組みがある。このため、将来の基本料金を上げないためには、電力使用量のピークを作らず、使用量を平準化するような運用が重要とされている。

 企業においては、例えば空調の使用電力を監視し、需要電力のピークを生まないようにエアコンの稼働をシフトするソリューションが既に他社から発表されている。今回パナソニックが発表したCharge-mentは、このようなシステムのEV/PHEV版といえるものだ。

Charge-mentの導入/非導入のコスト試算。低圧電力契約の拠点に10台のEVと充電器を導入し、各車100Km/1日走行の場合。年間のランニングコストは約25%減(120万円相当減)となるという。
Charge-mentは、EV/PHEVの充電によって昼や夕方に発生する需要電力のピークを他の時間帯にシフトする。これによって電力使用量のピークを発生させない。

 複数のEV/PHEVを運用する事業所では、日中にEV/PHEVを使い、充電は帰社後になる。このため、複数の車両に対する充電は、車両が一旦帰社した昼食時や夕方から夜にかけて重なり、ここが需要電力のピークとなる懸念がある。Charge-mentを使えば一斉充電によるピークが避けられ、基本料金の上昇が回避できるという仕組みだ。

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