ソーラーシェアリングの最新統計が公開、導入数やトラブル・作物の傾向が明らかにソーラーシェアリング入門(57)(1/3 ページ)

「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は農林水産省が公開した、日本国内におけるソーラーシェアリングの導入状況をまとめた最新データの内容をお届けします。

» 2022年08月30日 07時00分 公開

 農林水産省から公表されている「営農型太陽光発電設備設置状況等について」の最新データ(令和4年8月版)が明らかになり、令和2年度末(2021年3月末)時点の日本国内における営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の実態が明らかになりました。今回は、その内容を速報します。

一時転用許可件数は着実に増加傾向

 まず誰もが最も注目するであろう、一時転用許可件数から見ていきます。令和2年度の新規許可件数は779件で過去最高を更新し、対象となった設備下部の農地面積は144.8haでした。遮光率40〜50%程度が中心と仮定すると、設備容量は約120MWdc程度と推定されます。

営農型太陽光発電設備の許可件数等の推移 出典:農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について」より

 これで、新規許可件数の累計は3,474件となりました。1件あたりの平均的な下部農地面積は約1,859m2となり、令和元年度の約2,805m2から大きく減少していることから、低圧規模の案件が多くなっていることが推測されます。

営農型太陽光発電設備の農地区分

 営農型太陽光発電は農用地区域内農地や第1種農地でも設置できることが特徴ですが、令和2年度のデータでも引き続きこの2つの農地で許可事例が多くなっています。荒廃農地の再生件数も横ばいですが、令和3年度から荒廃農地における一時転用許可条件(農作物の収穫量ルール)が緩和されていることもあり、今後の動向に注目です。

営農型太陽光発電設備に係る農地区分 出典:農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について」より

営農型太陽光発電設備の設置者と営農者の状況

 営農型太陽光発電設備を誰が設置しているのか、大きく分けて主として発電事業を営んでいる発電事業者か、あるいは農業者または農地所有者なのかについては、発電事業者による設置の比率が増えているように見受けられます。特に令和2年度のデータでは「発電事業者(県外)」による設置件数が大きく増加しており、営農型太陽光発電に対する投資に変化が起きている様子も窺えます。

設置者と営農者の状況 出典:農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について」より
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