ソーラーシェアリングの最新統計が公開、導入数やトラブル・作物の傾向が明らかにソーラーシェアリング入門(57)(2/3 ページ)

» 2022年08月30日 07時00分 公開

営農型太陽光発電設備の下部農地の営農者の区分

 営農型太陽光発電設備における営農者が、どのような区分に当たるのかというデータですが、令和2年度は認定農業者を含む「担い手」の割合が43%となりました。

営農者の区分 出典:農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について」より

 こうした「担い手」の営農者が農業を行う場合というのが一時転用許可の期間が10年以内となる主要な条件となっており、そうした制度による誘導が効いていると言えるでしょう。これ以降はFIT制度における特定営農型太陽光発電の影響も出てくると考えられるため、今後はさらにこうした「担い手」の比率が高まっていくと予想されます。

営農に支障がある設備の割合は増加、要因も多様化の傾向に

 営農型太陽光発電に取り組もうとする事業者、また行政や金融機関の方々によく聞かれるテーマの一つが、この「営農に支障がある割合」です。農業生産の適切な継続が営農型太陽光発電の肝ですから、現在運営されている事例でどんなトラブルが起きているかは誰もが気になることでしょう。

 このデータで注目すべきは令和2年度ではなく、それ以前のデータです。図の左下にもありますが、令和2年度分は「支障あり」が13件なのに対して、合計値は令和元年度末の308件から令和2年度末時点で471件に増えています。集計しているのは許可年度に応じた支障のある案件の数なので、古い案件でも新たにトラブルが発生すればその年度に加算されるからです。このデータからは、既に許可を得ていた案件において150件も新たに営農への支障が生じたことが分かります。

発電設備の下部農地における営農に支障がある割合 出典:農林水産省「営農型太陽光発電設備設置状況等について」より

 「営農への支障の内容」について前年度の資料と比較すると、単収減少(営農者に起因)は247件・80%から336件・71%に、単収減少(災害等)は38件・12%から73件・16%に、設備工事の遅延は9件・3%から39件・8%に、その他は14件・5%から23件・5%となっています。営農者に起因すると見られる単収減少は増加していますが、全体の割合でいうと災害要因による単収減少や設置工事の遅延も増えており、要因が多様化しつつある傾向も見られます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.