ロシア・ウクライナ情勢が混迷を続けるなか、エネルギー安全保障の面でも再生可能エネルギーの導入を加速することが急務となっている。一方で、安全面、防災面、景観や環境への影響、将来の廃棄問題など、太陽光発電に対する地域の懸念は高まっている。交錯する期待と不安を踏まえ、太陽光発電協会(JPEA)が、“太陽光の本来あるべき姿”とそれを実現するための取り組みをまとめた。
太陽光発電協会(JPEA)は2022年8月29日、経済産業省が主幹する「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」の提言案(7月28日公表)を受けて、業界団体としての意見表明を行った。
昨今の太陽光発電における規制強化や、さまざまな懸念に対するJPEAの基本的な考えを示すとともに、太陽光発電の健全な普及・推進、並びに使用済み太陽光パネルの適正処理・リサイクルに向けた「これまでの取り組み」と、“あるべき本来の姿”を実現するための「これからの取り組み」を整理した内容となっている。
JPEAはまず、国の提言案に賛同するとした上で、「地域との共生・共創に基づく太陽光発電の健全な普及が、エネルギーの長期安定確保と脱炭素化、そして経済の好循環をもたらし、地域のレジリエンス強化と豊かな経済社会の実現に寄与する」との認識を示し、地域を重視する姿勢を前面に打ち出した。具体的な「意見表明」の中身は、次の5項目からなる。
2050年カーボンニュートラル宣言以降、脱炭素化に向けた方針・政策が矢継ぎ早に打ち出された。とりわけ2030年に向けては、稼働までのリードタイムが短い太陽光発電の導入拡大に期待が寄せられる一方、規制強化の動きとともに、適正な事業運営や廃棄設備の適切な処理・リサイクルへの懸念等が課題として取り上げられている。
JPEAとしては「上記の懸念に対する基本的な考えを示すと共に、国や地域に裨益する、太陽光発電の”あるべき本来の姿”を目指すことが肝要と考え、それらに必要な取り組みの強化を図っているところ」だとする。
太陽光発電の“あるべき本来の姿”については、地域から懸念されている事項を解消だけではなく、日本全国各地に降り注ぐ太陽のエネルギーを最大限活用し、地域と国にベネフィットをもたらすことが重要であるとして、下表の通り整理する。
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