「系統用蓄電池」の導入が急増する北海道、大量導入における新たな課題が顕在化蓄電・発電機器(1/4 ページ)

出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大への対応として、電力系統に蓄電池を導入する動きが進んでいる。北海道では系統用蓄電池の導入申請が急増。一方で系統混雑などの懸念が生まれていることが明らかとなり、今後の対策が検討されている。

» 2022年09月21日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 変動再エネ電源の大量導入に向けて、電力系統の需給バランス維持や調整力の提供の観点から、幅広い蓄電池の活用が期待されている。

 定置用蓄電池には、再エネ電源併設型や需要地点併設型などがあるが、系統に単独で直接接続する蓄電システムは「系統用蓄電池」と呼ばれる。

 北海道エリアではこの系統用蓄電池が急増しており、系統混雑の発生が懸念されていることが、第41回「系統ワーキンググループ(WG)」で報告された。

系統用蓄電池の導入に関する制度の概要

 従来、大規模な蓄電池が単独で系統に接続することは想定されていなかったが、2022年の電気事業法改正により、大規模な系統用蓄電池は「発電事業」の一つと位置付けられることとなった。

 一般的な発電所と同じく、電気事業法の「発電事業」に該当するか否かは、一つの発電設備容量が1,000kW以上かつ、小売電気事業等の用に供する電力の合計が1万kWを超えるものであること等が要件とされる。

 発電事業に該当する場合、参入・退出時の届出義務や需給逼迫時の供給命令等が課されることとなる。

図1.系統用蓄電池の接続による潮流への影響 出所:北海道電力ネットワーク

 系統用蓄電池では、充電する際には電力が一般需要と同じ向き(順潮流側:順潮)に流れ、放電する際には発電と同じ向き(逆潮流側:逆潮)に流れる。このため、蓄電池を系統接続する際には、逆潮流側・順潮流側双方の系統空き容量について考慮する必要がある。

 蓄電池を発電設備(放電)として逆潮流側から見た場合には、系統混雑解消のためのN-1電制やノンファーム型接続方式がすでに導入されており、長期間・高額の系統増強工事を待つことなく、速やかに系統接続する環境が整備されている。

 他方、充電(順潮流側)については一般需要と同様に、送電設備の熱容量超過等を避けるため、系統増強した上で系統に接続することとなる。

 系統用蓄電池の接続のために大規模な系統増強が必要となる場合、増強工事が完了するまでの間、当該蓄電池だけでなく、同じ系統への接続を希望する他の一般需要家も接続が遅れることとなる。

 なお、系統増強工事に伴う費用は、原則、通常の需要家と同様に「一般負担」(当該需要家の費用負担は無く、託送料金を通じて、広く需要家全体から費用回収する)となる。

 ただし、系統用蓄電池が発電所同様に「電源線」と判断された場合には、順潮流側による混雑回避のための系統増強についても工事費負担金が発生する場合もある。

系統用蓄電池の収入機会

 系統用蓄電池は一般的な火力発電所等と同様に、単独の用途で用いられるのではなく、供給力kW価値など複数の価値による収入を組み合わせることにより、初期費用を回収し収益を上げることが想定される。このような蓄電池の多目的な使用方法は、「マルチユース」と呼ばれる。

 2023年度から開始が予定されている「長期脱炭素電源オークション」においては、最低入札容量は原則10万kWであるが、蓄電池に関しては例外的に1万kW(送電端設備容量ベース、放電可能時間3時間以上)とされる予定である。

 なお直近の導入実績から、1万kW蓄電池の建設費は16億円程度と試算されている。

表1.系統用蓄電池の収入機会 出所:筆者作成
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