急成長する太陽光発電のPPAモデル、市場規模は2030年度に700億円規模へ太陽光

矢野経済研究所がPPAモデルによる太陽光発電の導入サービス市場の調査結果を発表。同市場は2021年度の38億円から、2022年度は94億円と大きく拡大する見込み。また、2030年度には700億円に成長すると予測している。

» 2022年10月12日 13時00分 公開
[スマートジャパン]

 矢野経済研究所は2022年10月4日、国内のPPA(電力購入契約)スキームによる再生可能エネルギー導入のサービス市場に関する調査結果を発表した。それによると、同市場は2021年度の38億円から、2022年度は94億円と大きく拡大する見込み。また、2030年度には700億円に成長すると予測している。

PPAサービスの市場予測 出典:矢野経済研究所

 PPAとはPower Purchase Agreementの略称で、企業や家庭などの電力需要家が発電事業者と再生可能エネルギーの発電電力を長期(通常10〜25年)に直接購入する契約を結ぶ再エネ導入スキーム。日本国内においては年々FIT制度による買取価格が低下するとともに、太陽光発電システムの設備の維持・管理コストが下がってきた。そのため、FIT売電よりも自家消費して環境価値を保有し、CO2の削減につなげる方がメリットがあるケースが生まれはじめたことを背景に、2017〜2018年度頃から導入が進み始めた。

 2020年度頃にはPPAスキームの需要は本格的に立ち上がり、以降、PPAサービス市場は急速に拡大傾向にある。環境省や経済産業省から、さまざまな助成制度が創設されたことも市場拡大を後押ししている。さらに2021年度以降は電気料金の高騰などもあり、電気料金よりも太陽光発電による発電コストの方が割安になったことから、設備コストにサービス料金を加味しても、高圧分野においてはPPAサービスの方が優位となっている。

 PPAサービス事業者の提供する業務は、設計・エンジニアリング・施工などのEPC(Engineering,Procurement,Construction)業務、設備の保有・電力の供給・精算などの「サービス業務およびメンテナンスなどのO&M業務で構成される。このうちPPA契約の主体として需要家に対して提供するのは「設備の保有・電力の供給・精算などのサービス業務」であり、矢野経済研究所ではこれを提供可能な事業者は現在国内に50社以上あると推定している。

 PPAサービス事業者については、エネルギーや商社、ファイナンス、再エネ、EPC、不動産などさまざまな業界からの参入企業が相次いでいる。

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