製品・サービス単位での再エネ利用証明を可能に、日立・リコーらが新組織自然エネルギー(1/2 ページ)

日立製作所、リコー、アート&テクノロジーが、一般社団法人パワード・バイ・アールイー認定委員会(Powered by RE Certification Committee)の運営を開始した。個別の製造ラインや設備・サービス単位での100%再生可能エネルギー利用を認証する。

» 2023年01月23日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 日立製作所とアート&エコロジーは、製造ラインや設備・サービス単位の再生可能エネルギーの利用拡大を目的に、一般社団法人パワード・バイ・アールイー認定委員会(Powered by RE Certification Committee)を2022年10月に設立した。12月にはリコーも参画し、同委員会の運営に携わっている。

 同委員会は、企業の各製造ラインや設備・サービスごとの使用電力が100%再エネ由来であることを認定し、再エネ利用証明書の発行などを行う民間発の認証団体となる。RE100に代表されるような企業全体の再エネ利用を認証するものではなく、あくまでも製造ラインやサービス単位の認証を行うところに大きな特徴がある。また、再エネに関する証書としては従来からグリーン電力証書や非化石証書などが存在するが、同委員会が行うのは再エネ電力が最終的にどこで使われたか、何の製品をつくるために使われたかなど、「利用側の証明」である点で根本的に異なっている。

再エネ100%でつくらたれ製品・サービスを認証

 代表理事を務める竹内孝明氏(アート&エコロジー代表取締役)は「再エネを健全に普及させていくためには、それぞれの製品・サービスにおいて再エネがきちんと使われていることを認定していくことが不可欠になっていくだろうと考え、この委員会を立ち上げました」と述べている。

2022年12月に開催された同委員会の活動説明会に登壇したパワード・バイ・アールイー認定委員会代表理事のアート&テクノロジー代表取締役 竹内孝明氏(中央)、日立製作所 グローバル環境事業本部 青木雅博氏(左)、リコー デジタルサービス開発本部 東義一氏(右)

 「持続可能な社会の実現に向けて、企業は再エネを利用した製品やサービス展開に力を入れています。ステークホルダーに対して、再エネ利用率などの情報開示を行うところも増えています。一方で、製品の製造やサービスごとの再エネ利用率や付随する減炭素量・脱炭素量の計測手法や開示項目については、いまだ統一的なルールが定められていません。そのため、消費者や投資家は、客観性や信頼性をもって、再エネ利用や環境負荷に関する情報の比較や評価を行うことが難しく、グリーン製品やサービスの購入あるいは環境投資を進ていくことが難しい状況にあります」(竹内氏)

 同委員会は、こうした状況を打破し、製品やサービスごとの再エネ利用率の計測手法や開示項目などについてのルール設計を行い、個別の再エネ利用について認証を進め、再エネ100%製品・サービスの価値を高めていくことを目指す。再エネ利用状況の計測およびデータ化については、当面、日立製作所のデジタル証明サービス「Powered by RE」を活用し、企業がルールに沿って申請した再エネ利用状況を、データに基づいて審議し、認定する。なお、同委員会による認定の正当性については、さらに第三者認証機関が監査する体制になっている。

 企業は、同委員会によって認証された製造ラインの製品やサービスの提供を通じ、地球温暖化対策への貢献をアピールすることができる。「製品やサービスの脱炭素価値・再エネ価値を客観的に明示することができれば、“より高く、より多く売れる”ということにもつながってくるはずです」と日立製作所の青木雅博氏(環境事業本部デジタルグリッドプロジェクト プロジェクトリーダ)は話す。脱炭素価値・再エネ価値を、それぞれの商品・サービスの価格に正当に転嫁し、流通させていくためにも、製造ラインやサービス単位ごとの再エネ利用認証が欠かせないものになっていくというわけだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.