製品・サービス単位での再エネ利用証明を可能に、日立・リコーらが新組織自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2023年01月23日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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QRコードで再エネ利用を可視化、ユーザーの行動変容を促す

 同認証の利用シーンとしては、各種商品に加え、モビリティや物流サービス、オフィス・施設のグリーン化などが想定されている。青木氏は、その一例として、EV(電気自動車)タクシーについて次のように語る。

再エネ利用認証サービス「Powered by RE」のイメージ 出典:日立製作所

 「EVはCO2を排出しない、排ガスを出さないクリーンな乗り物ということで認知されていますが、使っている電気が火力発電でつくったものでは意味がありません。EVタクシーが2台走っているとして、一方は再エネ100%で充電されており、もう片方は一般の電気で充電されたものだとします。その違いは見かけだけでは分かりません。しかし、これが分かるようになれば、ユーザーの一定の割合が、再エネ100%で走るグリーンEVタクシーを利用したいと思うでしょう。再エネ利用認証とタクシーの配車アプリを連携させることで、グリーンEVタクシーを呼ぶことも可能になります」

 さらに、再エネ利用ロゴとQRコードを車体に表示し、QRコードをスマートフォンで読み取ることで、再エネ利用状況とCO2排出量が分かるようになる。これはEVタクシーだけでなく、他の商品・サービスにおいても同様だ。再エネ利用状況を見える化することで、ユーザーの行動様式の変容を促し、企業には環境訴求・PRの機会を新たに提供する。

 「企業全体の脱炭素化と合わせて、その横軸になるような製品・サービスの脱炭素化とそのアピールが、脱炭素価値を事業活用していくためには重要なのです」と青木氏。パワード・バイ・アールイー認定委員会は、これを支える再エネ利用認証基盤の構築を図っていく。

再エネ利用認証サービス「Powered by RE」の今後の展開イメージ 出典:日立製作所

認定事業やルール設計に携わる参画企業を募集

 日立製作所、アート&テクノロジー、リコーの3社で動き始めた同委員会だが、早い段階で参画企業を20社程度まで増やしていく考えだ。認証件数としては、3年を目途に100件程度の実施を目指す。「本委員会の参画企業は、認定事業やルール設計に携わるのみならず、幅広く他社や業界間で連携することが可能です。活動に賛同いただける企業を募集していますので、ご関心のある企業は、本委員会事務局までご連絡ください」とのことだ。

 将来的には、国際的な連携も視野に入れる。「海外とくに欧州では、日本以上にニーズがあるとみています。また、具体的に動き出そうとしている企業や団体があることも把握しています。欧州にしても中国にしても、認証についてはそれぞれに考え方がありますから、国際的な相互接続性を担保していくというやり方が現実的だと思っています。例えば、欧州で私どもと同じような団体が立ち上がるときには、事前に連携して、認証のインターオペラビリティを確保していくことが大事になるでしょう」(青木氏)

 なお、同委員会の運営は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)および一般社団法人日本電機工業会(JEMA)といった業界団体や関連省庁とも連携して行われる。計測手法やデータ化のガイドライン策定や制度設計の提言などを通じて、認定に活用可能な新たな計測・データ化サービスの参入を促し、認定事業の拡大を図っていく。

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