光触媒を利用した世界初のサステナブル燃料製造、住友商事がプロジェクトに参画省エネ機器

住友商事が米国のスタートアップ企業などが実施する、光触媒技術を用いたサステナブル燃料製造のプロジェクトに参画。熱エネルギーを使った化学反応を電気化学反応に置き換えられる新触媒を活用し、CO2排出量の少ないサステナブル燃料の実現を目指すという。

» 2023年02月01日 15時00分 公開
[スマートジャパン]

 住友商事は2023年1月30日、ノルウェーのエネルギー大手Equinor社のコーポレートベンチャーキャピタルであるEquinor Venturesと共同で、米国のスタートアップであるSyzygy社が米RTI Internationalと行う、光触媒技術を用いたサステナブル燃料製造のプロジェクトに参画すると発表した。この光触媒技術を用いたサステナブル燃料製造のプロジェクトは世界初の取り組みになるという。

 Syzygy社は、2017年に米国ライス大学にて設立された、光触媒を利用してさまざまな化学反応を電化する先端技術を持ったスタートアップ企業。光触媒は、光を照射することにより、さまざまな化学反応を促進したり、化学物質のエネルギーを増加させたりすることができる物質のこと。Syzygy社は独自に開発した光触媒を用いることで、これまで熱エネルギーによって高温高圧下で引き起こしていたさまざまな化学反応を電化することができ、CO2排出量の削減だけでなく、低コストでエネルギー効率を高めることができるという。

Syzygy社の光触媒技術のイメージ 出典:住友商事

 今回、住友商事が参画するプロジェクトでは、Syzygy社の技術を用いてメタンとCO2から合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)を製造した後、RTI Internationalの設備を用いて従来のジェット燃料、ディーゼル、ガソリンの代替になり得るSAF(持続可能な航空燃料)やメタノールなどのさまざまな低炭素燃料を製造する。また、原料となるメタンにバイオガスを使用することで、より低炭素の燃料の製造も検討するという。

実証のイメージ 出典:住友商事

 住友商事グループは、2019年にSyzygy社への出資を行って以降、計2回の増資に応じるとともに、同社の技術を活用した水素・アンモニア関連事業の開発に取り組んできた。2023年8月からは、Syzygy社および韓国の大手化学メーカーLOTTE Chemical社と共同で、世界初の光触媒を用いたアンモニア分解による水素製造の実証試験を韓国にて行う計画だ。

 住友商事ではこれらのプロジェクトを通してSyzygyとの取り組みをさらに加速させ、同社が持つ世界最先端の技術の商用化をサポートするとともに、同社の光触媒技術を活用した、水素やアンモニアなど低炭素燃料の製造事業への参画も検討する。

 本プロジェクトを通して得られたデータを基に装置の最適化などを行い、住友商事グループは、SAFやディーゼル、メタノールなど、各地の需要に応じた低炭素燃料の商業生産を、地産地消型で行うことを目指す方針だ。

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