水素・アンモニアの低コスト化へ、政府が製造・供給インフラの整備に支援策エネルギー管理(1/4 ページ)

次世代の脱炭素燃料として期待されている水素・アンモニア。その社会実装に向けては需要拡大および燃料価格の低減が欠かせない。政府ではその促進に向けて、国内外の個々の製造等事業に対する支援策と同時に、国内供給インフラの整備に向けた支援制度を検討中だ。

» 2022年10月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 脱炭素燃料の有力候補とされる水素・アンモニアを、エネルギーの基本原則「S+3E」(安全性・安定供給・環境性・経済性)を前提として、いかに迅速に導入を進めるか、資源エネルギー庁の水素政策小委員会・アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会の合同会議において、検討が進められている。

 水素・アンモニア価格を低減させるためには、その大規模な需要創出が必要とされ、供給拡大に向けた投資を促すためには、予見可能性の向上が必要とされている。

 また、水素・アンモニアの国際サプライチェーン構築そのものが産業として成長分野であることから、本テーマは産業政策の一つとして認識されている。

 このため水素政策小委員会では、国内外の個々の製造等事業に対する支援策と同時に、国内供給インフラの整備に向けた支援制度を検討中である。

図1.水素・アンモニア需要拡大イメージ 出所:水素政策小委員会

支援対象プロジェクトの選定方式

 2050年カーボンニュートラルに向けた2030年エネルギーミックス実現のためには、迅速な水素・アンモニアの商用サプライチェーン構築が求められる。しかしながら一般的に、需要や技術面での不確実性が高い中で大規模な投資を行うことは容易ではない。

 このため事務局では、2030年頃までに水素・アンモニアの供給を開始する事業者を「ファーストムーバー」と位置付け、重点的に支援を行う方針としている。

 支援対象プロジェクトは、S+3Eを前提とした強靭な水素・アンモニア供給のサプライチェーンを構築する観点から、表1のような評価項目を用いた総合評価方式により選定することとしている。

 なお、多様な案件を一定以上選定することを目的として、燃料種別や生産地(国内・国外)などの選定枠をあらかじめ用意することも一案とされている。

表1.支援案件に対する評価項目案 出所:水素政策小委員会

 「セカンドムーバー」(2035年頃までに供給開始案件)以降の選定方式においては、一般的な公募入札と同様にコスト低減に主眼を置き、技術的中立性を考慮した、価格を軸とした公募入札により選定される。

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