水素・アンモニアの低コスト化へ、政府が製造・供給インフラの整備に支援策エネルギー管理(3/4 ページ)

» 2022年10月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「カーボンニュートラル燃料拠点」の整備とその意義

 水素・アンモニアのサプライチェーンを構築するためには、製造・供給事業だけでなく需要面や流通も含めたコンビナート等のインフラ整備も必要とされる。

 特に水素・アンモニア事業の初期においては、大規模な需要創出と効率的な供給インフラの整備が必要であり、日本の産業の国際競争力強化の観点からも「ハブ&スポーク」のように周辺の潜在的需要家の集積を促す「カーボンニュートラル燃料拠点」の形成を戦略的に支援していく方針が示されている。

 「カーボンニュートラル燃料拠点」(以下、拠点)では、グリーンイノベーション(GI)基金等による「技術開発」に続く、「事業開発」への支援が主眼とされ、経済性や継続性等の観点が不可欠である。

 CO2削減の観点からは、製鉄所や石油化学等の産業を含むコンビナートなどCO2の大規模排出地を対象としたカーボンニュートラル化が効率的と考えられる。このような拠点では、産業競争力の強化と地域経済の活性化の同時達成も期待される。

 また先進的な拠点で得られた知見は、国内外の他の拠点への展開に活用できることから、初期の拠点に対しては、国がその整備を支援することが検討されている。

支援対象拠点の選定

 効率的なサプライチェーン構築および需要創出のためには、拠点の最適配置が必要とされる。このため、大規模産業需要が存在する大都市近郊の大規模拠点を中心とした「ハブ&スポーク」を整備することや、産業特性を活かした一定規模の需要集積が見込まれる地域ごとに中規模拠点を整備することにより、適切な集約・分散を図ることが検討されている。

図4.支援対象拠点の選定・モニタリングの仕組み 出所:水素政策小委員会

 今後10年間程度で整備する拠点数としては、「大規模拠点」は大都市圏を中心に3か所程度、「中規模拠点」は地域に分散して5か所程度、という試案が示されている。

 なお、支援対象拠点の選定や実施期間中のモニタリング等のため、専門家会合の設置が予定されている。

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