水素・アンモニアの低コスト化へ、政府が製造・供給インフラの整備に支援策エネルギー管理(4/4 ページ)

» 2022年10月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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拠点整備支援のフェーズとタイムライン

 水素・アンモニア拠点の整備は、①拠点整備計画策定のための実現可能性調査(FS)、②詳細設計(FEED)、③インフラ整備、の3段階のフェーズに区分される。

 拠点形成への支援にあたっては効率的な実施の観点から、それぞれにステージゲートを設け、整備に向けた事業の継続可否やフェーズの移行可否が判断される。

 つまり、①FS段階においては拠点候補を広く募り、ステージゲートを設けることによりフェーズの移行とともに支援対象が限定されることとなり、各段階で有望な拠点に重点的に支援が行われる仕組みである。

 なおGI基金ではその支援対象は、技術成熟度レベル(TRL)「7」(商用前実証によるソリューション検証)までの案件が想定されている。

 よってファーストムーバーを支援する観点から、利用される技術のTRLが「8」(実機での初期的商用稼働)を超えてから一定の期間内に③インフラ整備を行う拠点を対象に支援を行うこととする。

 また対象技術の難易度の違いからその実現タイミングは異なるが、それぞれの技術に応じたファーストムーバーを支援対象とする。

図5.拠点整備支援のフェーズとタイムライン 出所:水素政策小委員会

 なおインフラを効率的に整備する観点からは、専門家会合による事業モニタリングを通じて、需要規模に応じた最適なインフラ形成と役割分担を促進する必要がある。

 例えば、隣接するA拠点とB拠点が別々に応募した場合、単一拠点のみでは十分な規模に到達しないことが予見されるならば、モニタリング時に両者の連携を促し、一定の規模に到達することを条件に支援対象とする。

 もしくはA拠点は水素技術に特化した計画、B拠点はアンモニア技術に特化した計画へ変更することで、支援対象拠点の役割分担を整理する。

図6.隣接する支援対象拠点の連携の例 出所:水素政策小委員会

拠点形成に関する合意形成が課題に

 地域全体で大規模な投資が必要となるカーボンニュートラル燃料拠点を形成し、これを持続可能なものとするには、当該地域のステークホルダーの合意形成が不可欠とされる。

 このため、応募拠点の採択審査やモニタリング時、ステージゲート審査においては、「1.実施主体者各社が十分な関与・戦略・推進体制を確保していること」に加えて、「2.協議会や地域コンソーシアムのレベルでも、地域で共有された将来的ビジョンに沿った同様の体制等を評価・確認」する。

図7.拠点の採択審査等での評価・確認項目 出所:水素政策小委員会

 今後、化石燃料から水素・アンモニアへの転換は、省エネや電化と同時並行的に進むと想定されるため、従来のコンビナート等の拠点のすべてが今のままの規模とかたちで残るとは考えにくい。

 それぞれの地域が明確なビジョンを描き、主体的に脱炭素化を進めることが求められる。

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