2024年度以降に本格的な運用がスタートする容量市場。政府では容量市場を通じた調達量の抑制と、控除量のリスクをカバーするための対策として「予備電源制度」の創設を検討中だ。このほど同制度の調達方式や費用負担に関する詳細が議論された。
2024年度以降、容量市場の運用が開始されることを見据え、資源エネルギー庁では、今後の供給力確保の在り方に関する議論を行ってきた。
現在の容量市場では、厳気象や設備(電源・送電線等)事故発生などの一定の稀頻度事象にも対応できる供給力を確保しているが、大規模災害等の非常に稀頻度で発生する事象に対応する供給力は確保していない。
容量市場はシングルプライスオークションであるため、価格の高い電源が1つ加わる(約定する)だけで、すべての調達電源に同じく高額な約定価格が適用される。よって、調達量を少しでも抑制することは、供給力の調達コストを大きく抑制する可能性がある。
このため、「電力・ガス基本政策小委員会」や「制度検討作業部会」では、容量市場による調達量の抑制(控除)と、控除量のリスクをカバーする「予備電源制度」について検討を行ってきた。
予備電源とは、通常は休止を維持した上で、いざという時、必要に応じて立ち上げる(再稼働させる)電源である。また、安価な電源であるならば、通常どおり容量市場で活用すればよいため、予備電源は高価であるという特徴もある。
つまり、典型的な予備電源とは、容量市場で不落札(もしくは未応札)となった高経年化した休止火力電源が想定される。
長期計画停止中の発電所のうち、直近3年以内(2020年以降)に停止したものは、合計で約590万kWである。ただしこの中には、容量市場での落札により今後稼働予定である電源も含まれる。
発電所の設備を休止や長期計画停止にする場合、休止措置(数億円/回)と、休止中の維持管理作業(数億円/年)が発生する。このため、本制度で調達された予備電源に対しては、休止状態を維持するために必要となる最低限の費用(人件費・修繕費・税金・発電側課金・事業報酬)が支払われる。
なお、いたずらに火力電源が休止することを防ぐため、本制度の対象電源は、容量市場において2年連続で不落札または未応札の電源とする。
なお、予備電源の制度適用期間は2年間または3年間を基本として(2年3カ月なども可)、後述する事業者からの提案に委ねることとする。
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