海洋汚染等防止法では、環境大臣の許可を受けた場合を除き、廃棄物を海底の下に廃棄することを禁止しており、CO2の海底下廃棄に係る許可制度を設けている。
海底下CCSを目的として環境大臣の許可を受けようとする者は、事前に環境影響を評価しなければならず、許可を受けた者は、海洋環境の保全に障害を及ぼさないようCO2を海底下に廃棄し、継続的に海洋環境を監視(モニタリング)しなければならない、とされている。
今後、商業ベースの海底下CCSが多数実施されることを踏まえ、海洋環境の保全と事業者の予見性向上の両立に向けた、海底下CCS関連制度の見直しの論点が示された。
現行制度では、海底下CCS事業の許可期間は最長5年であり、事業者は必要に応じて許可の更新を行う必要があるため、事業の予見可能性を損なう面もある。また、審査は主に許可期間内(5年)の行為が対象とされるため、CCS事業全体を捉えた海洋汚染の防止の観点からも、十分な仕組みとは言えないとの課題もある。
諸外国の事例等を踏まえ、当初の許可審査時に、事業の終了段階を含む事業のライフサイクル全体を確認した上で、事業期間全体をカバーできるように許可期間を設定することや、事業の実施状況について定期的にレビューするよう、制度の見直しを行うこととする。
96年議定書では、他の廃棄物を混ぜて海底下へ処分することを防ぐため、「極めて高い割合」でCO2から構成されている場合に限り、海底下への処分を検討することができるとされている。このため、96年議定書の国内担保法である海洋汚染等防止法においては、「特定二酸化炭素ガス」の基準として、CO2濃度が99%以上であることなどを定めている。
また従来は、CO2分離回収方法として、アミン吸収液とCO2の化学反応を利用する「アミン化学吸収法」が主流であったため、現行の施行令ではアミン化学吸収法に限定した規定となっている。
しかしながら、近年では「物理吸収法」や「固体吸収法」といった新たなCO2分離回収方法も実用化されている。このため、「特定二酸化炭素ガス」の特性に係る基準について、最新の技術動向を踏まえた見直しを行うこととする。
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