CO2の「海底下貯留」商業化に向けた課題とは? 環境省が関連制度を見直しへ法制度・規制(1/4 ページ)

カーボンニュートラルの達成に向けた方策として導入検討が進んでいる「CCS(二酸化炭素回収・貯留)」。その貯留先の一つとして検討されているのが「海底」だ。環境省では専門の委員会を設置し、今後の海底下CCSに係る海洋環境の保全の在り方や制度見直しについての検討を開始した。

» 2023年11月08日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 「CCS(二酸化炭素回収・貯留)」は、化石燃料の燃焼時等に排出されるCO2を分離・回収し、地下に貯留する技術である。CCSを計画的、合理的に実施することで、社会コストを最小限にしつつ、我が国の経済及び産業の発展、エネルギーの安定供給確保やカーボンニュートラル達成に寄与することを目的として、2023年3月に『CCS長期ロードマップ』が策定された。

 ロードマップでは、2050年時点で年間約1.2〜2.4億トンのCO2貯留を可能とすることを目安に、2030年までの事業開始に向けた事業環境を整備し、2030年以降に本格的にCCS事業を展開することを目標としている。

図1.CCS技術のイメージ 出典:海底下CCS制度専門委員会

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、陸域の地下だけでなく、国内での海底下CCSの実施や、海外での海底下CCSを目的としたCO2の輸出が想定される。このため環境省は、「海底下CCS制度専門委員会」を設置し、今後の海底下CCSに係る海洋環境の保全の在り方や制度見直しについて、検討を開始した。

ロンドン条約と96年議定書

 ロンドン条約(1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)は、海洋環境保護を目的とした国際的な条約であり、廃棄物やその他の海洋投棄を規制・管理している。

 当該条約では、海洋投棄できないものを掲げるブラックリスト方式であったのに対して、条約の1996年の議定書(96年議定書)では、海洋投棄を検討できるものを掲げるリバースリスト方式へと転換し、「海洋投棄を検討できる7品目」の1つとして、2006年にCO2が加えられた。

 日本は、ロンドン条約と96年議定書をそれぞれ1980年、2007年に締結しており、これらの国内担保法が「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」(海洋汚染等防止法)である。

図2.ロンドン条約と96年議定書のイメージ 出典:海底下CCS制度専門委員会

 96年議定書は、2009年の締約国会議で、海底下地層への処分を目的としたCO2の例外的輸出を可能とするための議定書第6条の改正案が採択されたが、現時点では受諾国が定足数に満たないため、第6条改正は未発効のままである。

 このため、2019年の締約国会議において、第6条改正の「暫定的適用」を可能とする決議が採択され、「第6条改正の暫定的適用に関する宣言(declaration)」をIMO事務局に寄託した96年議定書締約国は、海域でのCCSを目的としたCO2輸出が可能となった。

 現時点、暫定的適用の宣言を寄託した国は、7カ国(オランダ、ノルウェー、デンマーク、韓国、ベルギー、英国、スウェーデン)である。なお現時点、日本は議定書第6条改正を受諾しておらず、暫定的適用宣言も行っていない。

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