海底下CCSの監視(モニタリング)は、海洋環境に影響がないかを確認する海洋環境の保全の観点からの措置であるだけでなく、貯留が行われる海域の近隣地域における理解醸成にもつながるものである。
このため、CO2の海底下廃棄の許可を受けた者は、許可申請時に提出する監視計画に従い、海域の汚染状況を監視することが求められる。
現行制度では、図5の「通常時監視」において、特定二酸化炭素ガスの貯留状況や海底地層内圧力の状況、海洋生物及び生態系の状況などについて、1年に1回以上の監視の実施と報告が求められている。
苫小牧におけるCCS大規模実証試験を実施した日本CCS調査株式会社からは、海水の化学的性状及び海洋生物の実態調査は、自然変動の影響が大きいことが報告されている。環境省委員会では、苫小牧事業の経験や最新の科学的知見等を踏まえつつ、今後のCCS事業におけるモニタリングの手法について、検討を深める予定としている。
96年議定書を踏まえ、海洋汚染等防止法では「海底下廃棄」には、「貯蔵」する状態を含むこととされている。このため現在の制度では、海底下に圧入した特定二酸化炭素ガスを貯蔵する状態が続く限り、永久に許可を取り続ける必要がある。
つまり現在は、CCS事業の終了段階に対応した仕組みとなっておらず、今後のCCS事業が商業ベースで実施されることを踏まえると、事業終了のための制度を創設する必要がある。
なお、諸外国においては一定の条件のもとで、民間事業者から国への責任移管を行い、民間事業としては終了させる制度が措置されている。
日本でも海底下CCS事業終了のための制度を創設する場合、海洋環境の保全の観点から、以下の点を考慮することが求められる。
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