電力先物には価格リスクヘッジ機能のほかに「価格発見」機能があり、電力先物価格は市場リスク把握のための参考指標として、相対取引やベースロード市場等の参考価格としても利用されている。
電力先物は、反対売買により取引を終了(差金決済)することが可能であり、電力の現物を扱う必要がないことから、電気事業者といった当業者だけでなく、金融機関等の非当業者も市場参加することにより、多様なプレイヤーによる公正な価格が形成される点が特徴とされる。
また通常、先物市場で約定した取引は清算機関(クリアリングハウス)で精算されることから、取引先の「信用リスクのヘッジ」機能も、電力先物に付随する機能と考えられている。
東京商品取引所(TOCOM)による電力先物市場は、商品先物取引法に基づく公設市場として設置されたものであるのに対して、EEXでは店頭取引(OTC)のクリアリングを行うという建付けの違いはあるものの、両者の商品概要は表2のとおりである。EEXの取引高は急拡大を続けており、2023年度のマーケットシェアは9割を超える。
旧一般電気事業者による先物取引の活用状況(10月末時点)は表3のとおりであり、多数の事業者が先物取引に参加している。
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