洋上風力の入札結果が公表、賦課金なしの価格「3円」が実現可能に自然エネルギー

経済産業省と国土交通省が再生可能エネルギー海域利用法の入札に基づく、国内3海域での洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公表した。

» 2023年12月15日 15時00分 公開
[スマートジャパン]

 経済産業省と国土交通省は2023年12月13日、再生可能エネルギー海域利用法の入札に基づく、国内3海域での洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公表した。

 今回公表されたのは、「男鹿市・潟上市・秋田市沖」「村上市・胎内市沖」「西海市江島沖」の3海域。供給価格は「西海市江島沖」が22.18円/kWhで、残る2海域についてはゼロプレミアム水準となる3kWh/円となっている。なお、「八峰町及び能代市沖」の案件については、最高評価の事業者の港湾利用が重複しているため、計画の再提出を求めた上で2024年3月に落札者を公表する予定。

 「男鹿市・潟上市・秋田市沖」の落札者はJERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力のコンソーシアム。デンマークVestas社製の出力15MWの風車を21基、合計出力315MWで、2028年6月の運転開始を予定している。

「男鹿市・潟上市・秋田市沖」の入札結果 出典:国土交通省

 「新潟県村上市及び胎内市沖」は三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪ガスのコンソーシアムが落札。GE製18MWの風車を38基、合計684MWのプロジェクトで2029年6月の運転開始を計画している。

「新潟県村上市及び胎内市沖」の入札結果 出典:国土交通省

 「長崎県西海市江島沖」は住友商事、東京電力リニューアブルパワーのコンソーシアムが落札した。Vestas社製の出力15MWの風車を28基、合計420MWの発電規模で、2029年3月に運転を開始する予定だ。

「長崎県西海市江島沖」の入札結果 出典:国土交通省

 事業者の選定に係る評価の方法は、「価格点」と「事業実現性評価点」(それぞれ120点満点)の合計で、最も得点が高かった事業者が選ばれる仕組み。今回、供給価格の上限は、「西海市江島沖」で29円/kWh、それ以外の3海域では19円/kWhに設定していた。ただし再エネ賦課金が発生しない「ゼロプレミアム水準」以下の価格で入札を行った場合は、価格の大小を問わず「価格点」を120点満点とする仕組みとなっている。今回この「ゼロプレミアム水準」は3円/kWhに設定されていた。

 「男鹿市・潟上市・秋田市沖」「新潟県村上市及び胎内市沖」では、入札を行った事業者の大半がゼロプレミアム水準の3円/kWhで入札を行っており、運転開始予定時期などを含む、事業実現性評価点の部分で差がついたかたちとなった。

 なお、3円/kWhのゼロプレミアム水準とは、FIP制度に基づくものであるため、電力市場価格が3円/kWh以下の時は単価3円での供給、市場価格がそれを上回る場合は、それに応じた価格での供給となる。

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