2024年4月に開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合において、「各国のネット・ゼロの道筋に沿って、2030年代前半、または、気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトする」ことが合意された。
欧州各国は、2030年代までに石炭火力を完全に廃止する方針を示しているほか、アジア等においても、石炭発電電力量の削減等の方針が示されている。
国内の2023年度の火力発電全体の設備容量は1億4,880万kWであり、電力小売が全面自由化された2016年度と比べて1,600万kW程度減少しているが、燃種別に見ると、石炭火力は約900万kW増加している。
従来、熱量当たりの単価が化石燃料の中で最も低いとされていた石炭であるが、世界的な供給不足やロシアのウクライナ侵攻等により、2021年以降、石炭価格は大きく上昇している。石炭火力とLNG火力の発電単価について、それぞれの発電効率を発電コスト検証WGで用いている値(石炭43.5%、LNG54.5%)と仮定して、貿易統計の燃料輸入単価を基に機械的に算出したものが図7である。2021年頃までは石炭火力はLNG火力と比較して安価であったが、2022年の燃料価格高騰以降は石炭とLNGの発電単価が逆転する局面も発生していた。
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