カーボンニュートラルを実現するためには、原則全ての火力発電が、水素・アンモニア専焼やCCUS(CO2回収利用貯留)等により脱炭素化する必要がある。そこで、石炭火力の脱炭素化については、安定供給確保等の観点から、個別発電所の休廃止(kW削減)ではなく、これまで省エネ法により、発電電力量(kWh)の削減や高効率化に向けた規制的措置が取られてきた。
省エネ法に基づく電力供給業のベンチマーク制度では、発電事業者に対して、火力の燃料種ごとの発電効率目標(A指標)及び、火力の総合的な発電効率の目標(B指標)の2つの指標及び目標値を設定し、中長期的に達成することを求めている。
最新の令和4年度定期報告(令和3年度実績)によれば、ベンチマーク対象94事業者のうち、47事業者(50%)が、A指標・B指標の両方を達成しており、石炭火力を保有する52事業者に限った場合は、24事業者(約46%)がA指標・B指標の両方を達成した。
なお、旧一般電気事業者のうち、A指標・B指標の両方を達成している事業者は、関西電力とJERAの2社のみであった。
また、非効率石炭火力のフェードアウトに向けて、旧一般電気事業者(旧一電)及び同等以上の石炭火力発電量の大手発電事業者は、「火力脱炭素化計画(旧・フェードアウト計画)」を毎年度作成することが求められている。大手石炭火力発電事業者(旧一電、JERA、電源開発、日本製鉄、神戸製鋼)が保有する非効率石炭火力(超臨界圧、亜臨界圧等)の発電電力量は、フェードアウト計画作成初年度である2019年度から2022年度にかけての3年間で130億kWh以上減少しており、2030年度には397億kWhに減少すると見込まれている。
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