住宅トップランナー基準を強化、太陽光発電の設置目標を設定へ建築物エネルギー消費性能基準等小委員会(1/3 ページ)

国は住宅分野の省エネ性能向上に向けて、大手住宅事業者などを対象にした「住宅トップランナー制度」の基準を強化する方針だ。その具体策として建売戸建及び注文戸建に係る住宅トップランナー基準として、太陽光発電の設置目標を設定する。

» 2024年06月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 国は住宅の省エネ性能向上を促すため、建築物省エネ法により、「住宅トップランナー制度」を2009年から運用している。住宅トップランナー制度では、規格化された住宅を大量に供給する大手住宅事業者に対して、市場で流通するよりも高い省エネ性能の目標(トップランナー基準)を定め、対象事業者はトップランナー基準達成の努力義務が課される。これにより、省エネ性能に係るコストの縮減・技術力の向上を図り、中小事業者が供給する住宅も含めた省エネ性能の底上げが期待されている。

表1.現行の住宅トップランナー制度の対象や基準 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

 表1の外皮基準(表1※1)は、対象事業者が目標年度に供給する全ての住宅に対して求める水準である。同じく表1の一次エネルギー消費量基準(表1※2)は、目標年度に供給する住宅の平均に対して求める水準であり、太陽光発電設備及びコージェネレーション設備の発電量のうち自家消費分を含む(表1※3)。

 注文戸建住宅・賃貸アパートでは、間もなく達成目標年度を迎えるため(建売戸建住宅は目標年度到来済み)、資源エネルギー庁の「建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」と国土交通省の建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」の2省合同会議において、新たな目標年度と水準の設定について検討が行われた。

現行トップランナー基準の達成状況

 建築物省エネ法の2022年改正に伴い、住宅トップランナー制度対象に追加された分譲マンションを除く、現行の外皮基準[UA・ηAC]の2022年度時点における達成状況は表2のとおりである。事業者ベースでの適合率と比べ、年間供給戸数ベースで見た適合率がかなり高いことから、大手事業者における適合率が高いことが推察される。

表2.現行外皮基準(省エネ基準)への適合率 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

 また、現行の一次エネルギー消費量基準[BEI](創エネ自家消費含む)の2022年度時点における達成状況は表3のとおりである。建売戸建住宅と注文戸建住宅では、年間供給戸数ベースで見た一次エネ基準適合率が低いため、大手事業者における適合率が必ずしも高いわけではないことが推察される。

表3.現行一次エネルギー基準への適合率 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会を基に筆者作成

 注文戸建住宅における一次エネ基準への適合率を度数分布で表したものが図1である。戸数ベースで見たBEIの最頻値が、建売戸建住宅では「0.70超0.75以下」、賃貸アパートでは「0.75超0.80以下」であるのに対して、注文戸建住宅では「0.65以下」に大きく集中しており(全体の約58%)、平均値とは異なる実像が浮かび上がっている。

図1.注文戸建住宅 一次エネ基準適合率 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

トップランナー基準未達成事業者への対応

 住宅トップランナー制度では、目標年度における達成状況が不十分であるなど、省エネ性能の向上を相当程度行う必要がある場合、国土交通大臣は当該事業者に対し、省エネ性能の向上を図るべき旨の勧告、その勧告に従わなかったときは公表、命令(罰則)をすることができる。

 すでに目標年度(2020年度)を迎えた建売戸建住宅については、トップランナー基準未達成である事業者に対して毎年度、目標を達成できなかった理由や今後の目標達成に向けた改善計画等に関する報告を書面で求めている。

表4.トップランナー基準 未達成事業者数 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

 2023年度及び2024年度においては、報告内容に基づき一部の事業者に対して、現状や今後の取り組み等についてのヒアリングも行っている。なお、これまで法に基づく勧告の発動実績は0件である。

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