建売戸建住宅ではすでに目標年度が過ぎ、注文戸建住宅・賃貸アパートでは間もなく目標年度を迎えるため、これら3つの住宅区分では、新たなトップランナー基準とその目標年度を設定することが必要である。
2省合同会議では、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(2021年8月)で既に示されていた方針を踏まえ、2027年度を目標年度とした新たな省エネ性能の水準として、表5の内容を提案している。外皮性能は当該事業者が供給するすべての住戸での適合が求められ、一次エネルギー消費量は当該事業者が供給する住戸の平均で適合することが求められる。
なお、現行基準のBEIは再エネを含むのに対して、見直し案では再エネを除くBEIとしている。
太陽光発電については、建売戸建及び注文戸建に係る住宅トップランナー基準として、設置目標を設定する方向性が示された。目標水準及び運用については、エネルギー基本計画の改定を踏まえ、今年度内に具体化する予定としている。
住宅トップランナー制度では、トップランナー基準の水準の考え方として、供給戸数ベースで概ね半数がカバーされる程度の水準が想定されている。そこで国交省では、トップランナー事業者の2022年度実績報告から、上記見直し案を適用したと仮定した場合の現時点の適合状況の確認を行った。
見直し案の強化外皮基準[UA・ηAC]については、表6のように、戸数ベース適合率が5割〜8割であることが確認された。
また、見直し案の一次エネルギー消費量基準[BEI](再エネ除き)の2022年度時点における適合率は表7のとおりであり、いずれも戸数ベース適合率が5割を超えることが確認された。なお、先述の表3の現行基準では、賃貸アパートの戸数ベース適合率が最も高くなっていたが、現行基準BEI 0.90がすでに実態として緩いものとなっていたためと考えられる。
以上の住宅トップランナー基準の見直しについては、2025年春頃の公布・施行を予定している。
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